- Kei Okishima
- ライター。早稲田大学第一文学部卒業。ドイツには高校時代に国際ロータリークラブ青少年交換留学でバイエルン州に一年間、大学時代に交換留学でベルリン自由大学、フンボルト大学に一年間留学する。その後ドルトムント大学にてジャーナリズム学科を専攻。現在はフリーライターとしてヨーロッパを中心に活躍中。
出発エリアをに変更しました。
民族服の市民がみなさんをお出迎え
旧市街を祭りが包囲する!そんな素敵な日がこの夏やってくる。アルトシュタットとは旧市街、リングとは環状道路のこと。ミュンヘンの旧市街を取り巻いていた市壁を取り払った跡地に建設された、幅広い大通りのことである。ウィーンのように完全な円形ではないが、地図を見ればリングの意味がすぐ判る。ミュンヘン建都850年を祝うイベントのひとつとして、7月19日、20日の週末2日間、町を挙げての大フェスティバルが開催される。この祭り最大の特徴は、環状道路を2日間、車を排除して祭の会場に変えてしまうこと。18日の夜9時から交通は遮断され、準備が行われる。ポイントとなるいくつかの箇所かに舞台が設けられ、あちこちにテントが張られる。ミュンヘン市民たちは中世の衣装をまとってパレードに参加する。
旧市街の南西にあるゼンドリンガー門
市壁は完全に取り払われて道路になったが、市門は残されているものもある。中央駅に近いカールス門Karlstor、そこから南に下がったゼンドリンガー門Sendlinger Tor、そしてイザール川に近いイザール門Isartorの3つは今日でもほとんどオリジナルの形で残っている。ゼンドリンガー門、前の広場では、クリエイティヴな野外舞台が繰り広げられる。ライブショーでは、ミュンヘンのポップ、ロック、ヒップホップが紹介され、19日土曜の夜は祭りの興奮が明け方まで続く。近くのゲルトナー広場にはビアガーデンが作られ、こちらは伝統的で落ち着いた雰囲気だ。バイエルン調の陽気な音楽を聞きながら、ミュンヘンのビールとバイエルンの郷土料理を楽しむことができる。
イザール川に近いイザール門。フレスコ画が美しい
現存する3つの市門の中で、最も美しいのがイザール門。環状道路側から眺めると、2つの塔の間に細長いフレスコ画が描かれている。この壁画は、1322年のミュールドルフの戦いでバイエルン軍がハプスブルク家のフリードリヒ公を打ち破った凱旋の様子が描かれている。19世紀前半にバイエルン国王ルートヴィヒ一世によって修復されため、大変保存状態が良い。祭りではイザール門の前と、門から旧市庁舎までのイム・タール通りに市が立つ。小さな舞台が作られ、ビアガーデンもできる。イザール門の舞台ではギルドマイスター(中世の同業組合長)に扮した俳優たちによって古いミュンヘンが紹介され、ミュンヘンを建設したハインリヒ12世獅子王も登場してくる。
マリーエン広場から眺める旧市庁舎
イム・タールにはかつて手工業者たちが住んでいた。当時の雰囲気を味わえるように、ビール醸造と木工加工、蹄鉄鍛造、珍しい羽根毛刺繍、靴職人、石工など手工業者たちの実演が行われ、訪れるものを中世ロマンへ引き込んでいく。旧市庁舎は絵本に出てくるような可愛らしい建物だ。その前に設けられた舞台ではバイエルン風の芝居が上演される。現在とは異なった粗野で力強く、田舎っぽい中世のミュンヘンを知ることができるだろう。締めくくりは「タールの踊り」。ミュンヘン民俗音楽研究グループの演奏によって民族衣装をまとった人々が踊り出す。観光客も踊りだす。もちろんあなたも踊りましょう!
■ Altstadtringfest ミュンヘン旧市街環状祭
トーマス・ヴィムマー・リングThomas-Wimmer-Ringでは小さな子供の楽しい遊び場に変わる。カール・シャルナーグル・リングKarl-scharnagl-Ring では、ミュンヘンのスポーツ開拓の歴史が紹介される。19日の17時半から8.5Kmのマラソン大会が行われ、タイムを計ってもらえる。そのほか、ヴィッテルスバッハ広場 Wittelsbacherplatz 、マクシミリアンス広場 Maximiliansplatz、カールス広場/シュタフスKarlsplatz / Stachus などにも舞台が設けられ、音楽や演劇が披露される。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/06/10)
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