山の中の静かな幸福に満ちた修道院 ザンクト・ペーター

ドイツ・シュヴァルツヴァルト・観光地・名所の現地ガイド記事

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山の中の静かな幸福に満ちた修道院 ザンクト・ペーター

掲載日:2008/02/05 テーマ:観光地・名所 行き先: ドイツ / シュヴァルツヴァルト ライター:Kei Okishima

タグ: すごい! 建築 図書館 歴史



ABガイド:Kei Okishima

【ドイツのABガイド】 Kei Okishima
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ライター。早稲田大学第一文学部卒業。ドイツには高校時代に国際ロータリークラブ青少年交換留学でバイエルン州に一年間、大学時代に交換留学でベルリン自由大学、フンボルト大学に一年間留学する。その後ドルトムント大学にてジャーナリズム学科を専攻。現在はフリーライターとしてヨーロッパを中心に活躍中。

交通の便があまり良くないが、わざわざやってくる観光客が多い 交通の便があまり良くないが、わざわざやってくる観光客が多い

シュヴァルツヴァルトの雪

フライブルクからザンクト・ペーターへ向かう。雪で覆われた丘や野が美しい。国道の脇に立てられたキリスト像ヴェーク・クロイツが多いのもこの地方の特徴だ。南ドイツでは圧倒的にカトリック教徒が多い。道端に立つキリストの十字架に、村人たちは農作業の合間に短い祈りを捧げている。
急に雪雲がやってきて、ちらちら雪が舞ってきた。雪は降るのではなく、長い間空中をさまよっている。少しでも風があると、こうして雪は風と戯れる。気温が低くて湿気のないシュヴァルツヴァルトの雪は、なかなか地面に降りてこない。

 

南ドイツの田舎に行くと、道端でよく見かける十字架 南ドイツの田舎に行くと、道端でよく見かける十字架

人里離れた場所に建てられた修道院

遠くの丘に、ザンクト・ペーターが見えてきた。いくつも丘や谷を超えた、シュヴァルツヴァルトの修道院。なぜこんな辺鄙なところに、こんな立派な修道院があるのだろう。今ならそう考えるが、中世では人里離れた淋しい所こそ、修道院建設に最適だった。外部との接触を最小限に止めるため、修道院内では自給自足の生活を強いられた。パンを焼き、ミルクやチーズを作るために修道院内に家畜も飼っていた。修道士たちは俗世間から遮断され、ひたすら神と向かい合ったのである。

 

日本のお寺も綺麗に磨き上げられているが、どんな宗教でも厳しい生活の形跡がどこかに残っているものだ 日本のお寺も綺麗に磨き上げられているが、どんな宗教でも厳しい生活の形跡がどこかに残っているものだ

修道院内の美しさに圧倒される

ザンクト・ペーターは11世紀末に創建された大変古い修道院である。13世紀と15世紀に大きな火災に遭って焼け落ち、その都度再建された。1720年に建て直されたのが最後で、玉葱型の屋根をかぶせた高い2つの塔を正面に据えたバロック様式の建物である。
修道院内は見学が可能である。清潔な回廊は、かつて修道士たちが毎日磨き上げた廊下である。この清潔感に、修道士の厳しい生活がうかがえる。日々の祈りに欠かせない院内の教会ではフランツ・シュピーグラーの天井フレスコ画が美しい。シュピーグラーは天井フレスコ画の天才とも呼ばれ、西南ドイツの教会や修道院の天井画を多く描いている。ザンクト・ペーター最大の見所は美しいロココ様式の図書室だ。ここを手掛けたペーター・トゥムプは西南ドイツやスイス北東部で活躍した18世紀前半のロココ建築家で、世界遺産になっているザンクト・ガレン修道院(現スイス)の図書室も彼の作品である。

 

このロココ式の図書館を見るだけでも、わざわざここに来る価値あり このロココ式の図書館を見るだけでも、わざわざここに来る価値あり

今日では開かれた修道院

2006年11月より、ザンクト・ペーターは「精神センター」となっている。医療的な施設ではなく、神の教えを知ることで人間の魂を高めていく場所である。泊まり込みでのセミナーも開かれ、宿泊日数とトイレ・シャワー付き/無しの部屋によって参加料が変わる。例えば、3泊4日のトイレ/シャワー付きで講習料と食時を含めて324ユーロ、無しで292ユーロほどである。クリスマスやイースターなど、大きな宗教的行事のときは町の市民や子供たちが楽しく参加できるように工夫を凝らしたプログラムが用意されている。コンサートや市民による演劇も繰り広げられ、かつて閉ざされた修道院はこうして市民に開放されている。そんな時間を旅の途中に組み込めば、どこかすっきりとした気持ちで日常生活に戻れることだろう。知る人ぞ知るこの隠れた名所で、静かな幸福に満たされよう。

 

【関連情報】

■ Das Kloster St.Peter(ザンクト・ペーター修道院)
住所:Klosterhof 2, 79271 St.Peter
電話:(+49)7660 91010
開館時間:週3回行われる修道院の案内人とのみ見学可能。日曜日11:30から、火曜日11:00から、木曜日14:30から、それぞれ1時間半程度。
見学料金:6ユーロ
アクセス:一番近い都市Freiburg(フライブルク)から約45分。Freiburg駅→Kirchzarten(キルヒツァルテン)駅(電車で13分程)まで行き、Kirchzarten駅からはバス7216番のSt.Peter(ザンクト・ペーター)行きバスに乗る。
(Freiburgまでのアクセス方法はStuttgart(シュツットガルト)駅→Karlsruhe(カールスルーエ)駅→Freiburg(フライブルク)駅で、計1時間50分程度)

 
 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/02/05)
※渡航前に必ず現地の安全情報をご確認下さい。http://www.anzen.mofa.go.jp/
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
 提供情報の真実性、合法性、安全性などについては、ご自身の責任において事前に確認して利用してください。
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