世界最古の彫像ライオン人間

ドイツ・ウルム・美術館・博物館の現地ガイド記事

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世界最古の彫像ライオン人間

掲載日:2015/04/18 テーマ:美術館・博物館 行き先: ドイツ / ウルム ライター:沖島博美

タグ: すごい! ミステリー ロマン 珍しい 歴史



ABガイド:沖島博美

【ドイツのABガイド】 沖島博美
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東京在住。 旅行作家。ドイツの民俗、歴史、文化などを取材し、書籍や雑誌で紹介し続けている。主な著書に『グリム童話で旅するドイツ・メルヘン街道』(ダイアモンド社)、『北ドイツ=海の街の物語』(東京書籍)、『ベルリン/ドレスデン』(日経BP),『ドイツ〜チェコ古城街道』(新潮社)、『ドイツ・クリスマスマーケット案内』(河出書房新社)など他多数。日本旅行作家協会会員。

 ウルム博物館2階の展示室にあるライオン人間  ウルム博物館2階の展示室にあるライオン人間

シュヴァーベンの洞窟で発見された象牙の像

今から3万5千年ほど前に作られたとされる世界最古の彫像がドイツにある。「ライオン人間」と呼ばれるこの像は南ドイツのウルムに保管されている。ウルムはバーデン・ヴュルテムベルク州に属しているがバイエルン州との境にあり、人口12万ほどの静かな町だ。ドナウ河畔に開け、物理学者アルベルト・アインシュタインが生まれた町としても知られている。行政区分とは別に、バイエルン州も含めてこの辺りはシュヴァーベン地方と呼ばれており、ここに広がる低い山岳地帯もシュヴェービッシェ・アルプ(シュヴァーベンのアルプス地方)と呼ばれている。ライオン人間は、このシュヴェービッシェ・アルプの洞窟で発見された。

 

 左側は完全な状態で残り、ライオンの後肢のような腕が付いている  左側は完全な状態で残り、ライオンの後肢のような腕が付いている

発掘されてから30年後に再発見されて修復

ライオン人間(レーヴェンメンシュLowenmensch)は1939年にシュヴェービッシェ・アルプのシュターデル洞窟でバラバラの状態で発見された。しかし第二次世界大戦勃発によって発掘調査が中止され、発掘品は標本庫に保管される。そのまま忘れ去られて眠っていたのが1969年に再発見された。長い年月を掛けて修復作業が行われ、2002年にウルム博物館に展示される。頭の部分はライオンで体の部分は直立した人間という半人半獣像で、マンモス象の牙で作られている。30cmという像の身長はこの時代のものとしては非常に大きい。さらに2009年に同じ場所で、それまで欠けていたこの像の破片が見つかる。300近い破片が念入りな調査によって補充され、丁寧な修復作業を経て2013年に像は現在の状態になった。

 

 日本の書籍も2冊展示されている  日本の書籍も2冊展示されている

考古学者たちの注目を集めたライオン人間

ライオン人間の特徴は、頭の部分はライオンで体は背筋を伸ばして立つ人間、腕はネコ科の動物の後肢のように作られている。30000年以上も前だというのに、動物と人間が融合した想像の世界を形にしていたとは驚きである。この擬人化された像は何のために作られたのであろう。儀式のためなのか、強い動物に対する人間の憧れなのだろうか。世界の考古学者たちがライオン人間の研究を行っている。館内には各国のライオン人間研究書が展示され、その中には日本の書物もあった。このほかシュヴェービッシェ・アルプの別の洞窟から発掘された後期旧石器時代のものとされる鳥や獣など5cm以下の小さな像も数点展示されている。

 

 中世初期の日常品が展示されている部屋  中世初期の日常品が展示されている部屋

地方都市にもこれほど充実した博物館がある

ウルム博物館にはネアンデルタール人時代から中世後期までのシュヴァーベン地方の古美術品や日常の品々が展示されているが、考古学分野が最も充実しており人気が高い。ライオン人間と共に氷河期時代に作られたとみられる多くの発掘品、例えば人間の骨、墓に埋められていたもの、紋章、装飾品、なども展示されている。ウルムの大聖堂広場で見つかった石器時代の発掘品もある。世界最古の彫像という、これほど高い価値の文化財なら通常は首都の国立博物館へ運ばれてしまいそう。ところがそうでないのがドイツらしい。こうした文化の高い地方都市を訪ねることに、ドイツの旅の面白さがある。ライオン人間を訪ねて、是非ウルムへ出かけよう。

 

 マルクト広場に面したウルム博物館  マルクト広場に面したウルム博物館

データ

ウルム博物館
Ulmer Museum
Marktplatz 9  89073 Ulm
Tel. 0731/161 43-30
開館:火・水・金 11:00〜17:00
   木 11:00〜20:00
   土・日・祭日 10:00〜18:00
休館:月曜
入館料:6ユーロ、学生4ユーロ
交通:ウルムへはミュンヒェンから電車で約1時間15分、シュトゥットガルトから約1時間

 
 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2015/04/18)
※渡航前に必ず現地の安全情報をご確認下さい。http://www.anzen.mofa.go.jp/
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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