エーゲ海の人気の島サントリーニ

世界にはいろいろな色の海がありますが、なかでも格別の「青」がエーゲ海です。ちょっと古いですが、私は昔、映画『グラン・ブルー』に魅せられて、エーゲ海に行きました。そのエーゲ海のちょうど真ん中当たりにサントリーニという島があります。名前の由来は、キリスト教の聖人イリニ(英語ならセント・イリーニ)からですが、ギリシャの正式な名前は古代からの名称「ティラ」です。夏にはヨーロッパ各地からのバカンス客でにぎわい、どのホテルも満室になる大観光地で、エーゲ海を見下ろす白い壁と青い屋根の教会の写真は、きっとどこかで見たことがあるでしょう。さて、この島には大きな謎があるのです。島の西側は、まるで何かに切り取られたような、三日月型に切り立った断崖になっているのです。その変わった地形はなぜできたのでしょうか。

一夜にして沈んでしまったアトランティス。その伝説をほうふつとさせるサントリーニ島 一夜にして沈んでしまったアトランティス。その伝説をほうふつとさせるサントリーニ島

アトランティスの伝説とは

この海に落ち込んだ巨大なクレーターができたのは、紀元前1600年代。ここで未曾有の火山大爆発があり、島の中央部分が吹き飛んでしまったのです。その時、島に人がいたとしても助かったものは誰もいなかったでしょう。この時の衝撃は広く地中海世界に影響し、人々の間で語り継がれたはずです。そしてこのサントリーニの火山の爆発が、アトランティス伝説の元になったのではないかという説があるのです。アトランティスは、古代ギリシャの哲学者プラトンが記述した伝説の大陸です。アトラスの海(大西洋)にあった大陸で、そこで王国が栄えたのですが、やがてゼウスの怒りにふれて一夜にして海中に沈んだという伝説です。

クレタ島のミノア文明の崩壊の原因?

さて、現在では大西洋上にそのような沈んだ大陸がない事がわかっています。この前17世紀に起きた大噴火とその津波による被害が、100キロほど離れたクレタ島で栄えていたミノア文明(クレタ文明)を滅ぼしたという説があるのです。実際にミノア文明が滅んだのはその200年ほど後のようですが、かなりの高さの津波が押し寄せたことは間違いなく、それがミノア文明に大きな被害を与えた事も想像できます。クノッソスの宮殿が崩壊した原因は確かに津波か地震によるものだったのかもしれません。アトランティスは、このサントリーニの爆発とミノア文明の崩壊が混ざってできた伝説なのかもしれません。

古代の伝説に思いを馳せる

こうした火山爆発は一回ではなく、もしかしたら地中海世界では何回もあったのかもしれません。しかしこのサントリーニ島の爆発は、最大級のものだったことはまちがいないでしょう。船着き場から断崖の頂上にあるフィラの町まで切り立った断崖の高さは、250m。これだけの陸地が吹き飛んでしまったのですから、その爆発音や凄まじいものがあったと想像してしまいます。エーゲ海の青い海に浮かぶ、この美しい島に行く機会があったら、そんなアトランティス伝説を思い出してみて下さい。