勝利の女神ニケにまつわる、残酷なギリシャ神話

アテネのアクロポリス遺跡その2からの続きです。パルテノン神殿以外にも、遺跡内にはニケ神殿があります。「ニケ」と耳にして、パリのルーブル美術館にある、翼を広げた「サモトラケのニケ」を思い浮かべる人もいるでしょう。有翼の勝利の女神ですが、ここアテナのニケには翼がありません。本来は翼を持っていたのですが、戦争に勝利した際、アテネ市民は考えました。このまま勝利が続くためには、勝利の女神が飛んで行ってしまわないよう、女神の翼を切り落としてしまえばいいと。翼を失った女神がこの神殿に祭られているというわけです。残酷なエピソードも残るギリシャ神話ですが、知っていると遺跡を見るのが、さらに楽しくなります。

古代ギリシャへタイムスリップ。アテネにある世界遺産のアクロポリス遺跡 その3 古代ギリシャへタイムスリップ。アテネにある世界遺産のアクロポリス遺跡 その3

アテネとポセイドンが戦った跡に建つエレクティオン

パルテノン神殿の横に建っているのが、紀元前408年に完成したエレクティオン。前述したアテナとポセイドンの戦いが行われたとされる場所に、この神殿は建てられています。見どころは、柱代わり置かれているカリアティデスの6人の少女の像。現在、設置されているのは、すべてレプリカで、本物の5体は新アクロポリス博物館に所蔵されています。残り1体は、遠く離れたロンドンの大英博物館に所蔵されているんです。パルテノン神殿の屋根とともにギリシャ政府は返却を求めており、博物館にも展示スペースを既に用意しているとか。一緒に展示されている姿をいつか見てみたいものです。

音楽堂は、夏のコンサート時に入るチャンスあり!

遺跡の中で最も高い位置に神殿が建っているのに対し、低い位置にあるのが劇場と音楽堂です。音楽堂の方はコンサート、演劇などが行われる際、演目を鑑賞する目的以外では入場できません。ただ、ニケ神殿側の高い位置から見下ろして見ることはできるので、そこが写真スポットになっています。劇場には、酒と演劇の神ディオニソスの名前が付けられています。約1万7000人を収容できたギリシャで最古の劇場でしたが、その後ローマ時代に大リフォームが行われ、当初の状態が残っているのはわずかな部分です。それでも入場して見ることができる貴重な遺跡で、一列目の背もたれ付きのVIP席は、ローマ以前のもの。また、舞台後方のディオニソスの生涯を描いたレリーフは必見ですよ。