ミノス王の娘アドリアネが惚れた相手とは

「クレタ島のラビリンス」その1からの続きです。神話のエピソードは、まだ続きます。閉じ込められたミノタウロスへの生贄のために、アテネから少年少女が送られました。その中にいた一人の少年テセウスに、ミノス王の娘アドリアネが一目惚れしてしまうのです。彼女は迷宮の設計者のダイダロスに相談し、テセウスが怪物を倒せるよう短剣と、糸をたどって迷宮から出られるように魔法の糸を渡しました。そして、テセウスは怪物を倒し、見事に生還を果たすのです。ミノス王はそれに怒って、次はダイダロスを迷宮へ閉じ込めました。そうして、自分で設計した脱出不可能の迷宮に閉じ込められたダイダロス。何とも皮肉な話です。彼はそこから逃げるために飛び立てる羽を作り、息子と一緒に迷宮を去ることに成功しました。

ギリシャ神話で出てくる迷宮は、クレタ島に実在した?! その2 ギリシャ神話で出てくる迷宮は、クレタ島に実在した?! その2

懐かしの名曲が口ずさみたくなるでしょう!

実は、その息子の名がイカロス。どこかでこの名を聞いたことはありませんか。私は小学校のときに歌った合唱曲「勇気一つを友にして」を思い出しました。この歌の冒頭の歌詞に「昔ギリシャのイカロスは、蝋で固めた鳥の羽…」とあります。イカロスはこの迷宮から逃げ出したとき、太陽に近づくほど、高く飛びすぎてしまったのです。太陽の熱で、蝋の羽が溶けて落ちてしまったという悲しい歌。この遺跡を歩いていると、頭の中にそのメロディーが流れてきました。遺跡の中でも、地下部分を見られる場所があります。ここにイカロスもいたのかもしれない、と思うと何だか切ない気分になりました。

やりすぎてしまった、発掘者の失敗

この遺跡から発掘された品は、イラクリオンの考古学博物館に所蔵されています。遺跡を訪ねた後に博物館に足を運んだ方が、置かれていた場所が想像できて、面白いでしょう。遺跡には何も置かれてないのではなく、地下にはレプリカの壷や、壁には壁画の模写が設置されています。これらのフレスコ画を復元したのは、発掘者のエヴァンズ。彼が、きっとこうだったという想像で複製してしまったために、世界遺産に登録できない遺跡になってしまったとガイドさんが嘆いていました。

大胆なギリシャ人の発想に、ビックリ

また、見学していたとき、不思議なU形のオブジェに目が留まりました。これはミノア時代、雄牛の角を魔除けのために屋根や玄関に飾ったものです。違和感を感じたのは、コンクリートで製作されていること。当時と同じ素材で複製しない、ギリシャ人の大胆さに驚きました。(その3へ続く)