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海外現地発ガイド通信

センテンドレのマルギット・コヴァーチ博物館


掲載日:2019/05/11 テーマ:美術館・博物館 行き先: ハンガリー / ブダペスト

タグ: 街歩き 素晴らしい 博物館


小さな可愛らしい町に素晴らしい芸術作品がある

色々な思いをそれぞれに抱きながら夫の帰りを待つ漁夫の妻たち 色々な思いをそれぞれに抱きながら夫の帰りを待つ漁夫の妻たち

不安そうに遠くを見つめる女性たち。風が強いのか、寒いのか、ショールをしっかりと体に巻き付けている。震えている様にも見える。海へ出て行った夫の帰りを浜で待っている女性たちだ。海は時化ているのだろう、彼女たちの祈るような気持ちが伝わってくる。「漁夫の妻たち」と題されたこの群像、ハンガリーの女流陶芸家、マルギット・コヴァーチの作品だ。ここはセンテンドレのマルギット・コヴァーチ博物館。ドナウ川に面した小さな町だ。センテンドレまではブダペストからへーヴ(HEV)という郊外電車に乗って約45分。古くからセルビア人やクロアチア人が多く住んでいたので、典型的ハンガリーの町とは少々雰囲気が異なる。こぢんまりとした可愛らしい町なので19世紀末頃から芸術家が住み始めた。今日、町に博物館や美術館が多いのはそんな理由による。

若くして頭角を現したハンガリーの女性陶芸家

入口の壁に取り付けられた博物館の表札 入口の壁に取り付けられた博物館の表札

マルギット・コヴァーチ(ハンガリーでは名字が先なので正式にはKovacs Margitと記す)は1902年にギョール(Gyor)で生まれ、1977年にブダペストで亡くなっている。最初、彼女はグラフィックアートを学んでいたが、18歳の頃から陶芸に興味を持ち、ウィーンの陶芸家のもとに弟子入りする。彼女が公の場に出品したのは1928年で、ブダペストの展覧会だった。その後は作品を作りながら、1928年から2年間ミュンヒェンで、1932年から1年間コペンハーゲンの陶芸学校で学んで更なる実力を付ける。ハンガリーに戻ったコヴァーチはヨーロッパの展覧会へ次々に作品を発表し、ミラノ、パリ、ベルリン、ブリュッセル、ローマなどで国際的な賞を受賞した。30代の彼女は既にハンガリーで有名な芸術家になっていた。

1972年にコヴァーチから作品が寄贈され、翌年に博物館が設立

博物館の入口、分厚くて大きな木製の扉が博物館に重々しさを与えている 博物館の入口、分厚くて大きな木製の扉が博物館に重々しさを与えている

マルギット・コヴァーチの博物館は町の中心、三角形の中央広場からドナウ川へ向かって下るギョリグ通りの右手にある。入口は右へ入った路地のVastagh Gyorgy通りだ。館の壁は窓がなくて塀のよう。博物館の入口からチラッと見える館の中庭が明るくて、そこに別の世界があるかのよう。入口脇の壁にテラコッタ製の博物館の表札が取り付けられている。何とも可愛らしく、コヴァーチのことを知らない人でも中に入りたくなってしまう。博物館は小さな部屋がいくつもあって順に回って行くようになっている。先ほど外から覗き込んだ中庭は、途中で通り抜けることができる。塑像、器、皿、壁飾りなど展示品は大小様々で、素焼きのものが多いが彩色されたものもあり、タイルで造られたカラフルなものもある。

作品からにじみ出る温かさはコヴァーチ自身の温かさであろう

作品一つ一つがゆったりと展示されたマルギット・コヴァーチ博物館 作品一つ一つがゆったりと展示されたマルギット・コヴァーチ博物館

マルギット・コヴァーチが1928年に初めてブダペストで展覧会を開いて以来、彼女の作品は世に知られるようになった。第二次世界大戦中も作品を作り続け、戦争が終わってハンガリーが社会主義国になっても、国から特別な評価を受けて制作に取り組むことができた。彼女が徹底して貫き通したテーマは、祖国、人々、家族、日常生活だった。信仰心も強かったので、聖書の物語の一場面を描いた作品もある。モデルは普通に生活している町民や農民、一般の人々が対象だ。素焼きの単純な像など、古代遺跡からの発掘品か、と思うような素朴さだが、それが妙に心を打ち、忘れていた感情を呼び戻される。「漁夫の妻たち」で表現された不安とやりきれなさ、漁に出た夫の無事を願う妻たちのしぐさに、誰もが心を奪われる。

データ

聖母マリアと幼子イエスの像は、神聖な雰囲気ではなく乳を与える身近な母と子に作りあげている 聖母マリアと幼子イエスの像は、神聖な雰囲気ではなく乳を与える身近な母と子に作りあげている

コヴァーチ・マルギット博物館
Kovacs Margit Museum
住所: Szentendre, Vastagh Gyorgy u. 1,
時間: 毎日10:00〜18:00(10月から3月は〜17:00)
電話: +36 20 779 6657
入館料:1700Hf(1フォリント=約0.4円)
アクセス:ブダペストのバッチャーニ広場Batthay terから郊外電車HEVで終点のセンテンドレSzentendreまで約45分。駅から町の中心広場まで徒歩10〜15分。博物館は広場から1分。

 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2019/05/11)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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