刑務所内のチャペル、処刑直前の結婚式

前編からの続きです。ツアーの最初には、刑務所内に設備されているチャペルで刑務所の歴史に関するビデオを見ます。このチャペルには、イースター蜂起の指導者として収監されていたジョセフ・プランケットと、その婚約者のグレース・ギフォードが、ジョセフの処刑実行の数時間前に結婚式を挙げたという有名な逸話があります。グレース自身もその後アイルランド内戦に際し1923年に投獄されてしまいますが、彼女は釈放され、挿絵画家としての生を全うします。

有名なパノプティコン式の独房群 有名なパノプティコン式の独房群

さまざまな独房を見て回る

その後、18世紀からほとんど姿を変えていない古い独房に始まり、さまざまな独房を見て回ります。その際、寒さや湿気など、当時ここがいかに劣悪な環境だったかということもガイドが詳しく解説してくれます。また、歴史に名が残る運動家などが収監されていた独房には、その人物のネームプレートが入り口の上に張られています。そして最大の目玉は、ガラス張りの天井のもとに3階建ての吹き抜けで作られたパノプティコン式の巨大な独房群です。ここは、アイルランド独立の歴史を描いた名作『マイケル・コリンズ』や『麦の穂をゆらす風』、北アイルランドで実際に起きた事件を元にした『父の祈りを』などの映画のロケ地として使われたほか、アイルランドを代表するロックバンドU2のプロモーションビデオでも使われています。

聖母が描かれたグレースの独房

吹き抜けの独房群は、見た目のインパクトが強烈なので、写真を撮ることだけに気をとられがちですが、もう1つ注目すべきものがあります。それは前述したグレース・ギフォード(収監時はグレース・プランケット)が入った独房です。彼女のネームプレートがある独房をドアの穴から覗き込むと、彼女が描いた聖母像のイラストを見ることができます。ぜひ見逃さないようにしましょう。

両端に十字架が立つ処刑場

独房を一通り見た後は、外部に出て、イースター蜂起の指導者たちが処刑された外のスペースを見て終わります。ここは両端に小さな十字架があり、真ん中にはアイルランドの国旗が立てられているだけの寂しげな場所ですが、アイルランド独立のために命を賭けた人々へ想いをめぐらせると、その過去の重みをリアルに感じ取ることができると思います。