イスラム圏、アジアのコレクションが豊富なライブラリー

ダブリン城の跡地の一部に建てられているチェスター・ビューティー・ライブラリーでは、イスラム圏や東アジアをはじめ世界中の書物や美術品のコレクションを入場無料(寄付歓迎)で見ることができます。「ライブラリー」の名がついていますが、本を借りたり読んだりできるわけではなく、展示されている文物をガラス越しに見る形式なので、「博物館」のような施設と言えます。2階は主に美術に関する展示とそのときどきの企画展、3階は主に世界の宗教に関する展示となっています。

チェスター・ビューティー・ライブラリー外観 チェスター・ビューティー・ライブラリー外観

アメリカ生まれのアイルランド人、チェスター・ビューティー

創設者であるアルフレッド・チェスター・ビューティーは、1875年ニューヨーク生まれの鉱山技師。若くして仕事で大成功を収めた彼は、1914年のエジプト旅行でコーランの写本を購入したのを皮切りに広範にわたる地域のコレクションを始め、中国や日本など東アジアの美術品も精力的に収集します。1950年にダブリンに移り、1957年にはアイルランド共和国で初の名誉国民に選ばれ、この地で生涯を終えます。1954年開館のチェスター・ビューティー・ライブラリーは、2000年にダブリン城の時計塔を利用した現在の建物に移設されました。

絵巻物や浮世絵など日本のコレクションも充実

チェスター・ビューティー・ライブラリーは日本の美術品のコレクションも多く見応えがあります。中でも最も力を入れて展示されているのは、江戸時代に描かれた『大江山絵巻』。有名な酒呑童子退治劇のこの物語はいくつもの絵本や絵巻がありますが、この版はほかのものに比べてより鮮やかで豪華な意匠で人物等が描かれていると言われています。きれいに修復されており、英語による詳細な解説とともに全3巻すべてが見られるように、たっぷりとスペースを使って展示されています。日本の美術品はそのほかにも、浮世絵など主に江戸時代のものを中心に見ることができます。

豪華な皮装丁や金箔のイスラム圏の書物

もう一つの目を引く展示が、数々のイスラム圏の書物です。特に、様々な種類、大きさ、時代の皮装丁の本が一挙に展示されているのはかなりインパクトがあります。また、金箔をふんだんに使って書かれた本の展示も驚き。もちろん、展示の中にはコーランも多数あり、イスラム圏の書物文化が古くから非常に高度なものであったことがよくわかります。アイルランドに来てアジアの展示品を見るというのも不思議な気持ちがするかもしれませんが、貴重なコレクションばかりなので、興味のある方はぜひ訪れてみることをおすすめします。