絶景が広がる遺跡、ドン・エンガス

「アラン諸島観光攻略ガイド」その2から引き続き、イニシュモア島についてです。港のあるキルロナンを出発するとしばらくは石垣と牧草地、民家、遠くに海が見える風景が続きますが、30分ほど自転車をこいでいると、お土産の買える雑貨店、アイスクリーム屋、レストランが集まる三叉路に出ます。ここから案内板に従って南下していった先が、断崖に立つ遺跡「ドン・エンガス」です。ドン・エンガスの入口には駐車場・駐輪場とビジターセンターがあり、高さ100mの崖までは徒歩で登ります。バスで来てもここではやや体力を使うことになりますが、のぼった先にある絶景は、その疲れも吹き飛ばしてくれます。どこまでも広がる青い海と風が吹き荒れる断崖絶壁の風景は、同じくアイルランドの人気絶景スポット「モハーの断崖」とも似ていますが、崖の上に立つ遺跡が、趣のある景観を作り出しています。

紀元前に造られたという謎に包まれたドン・エンガス 紀元前に造られたという謎に包まれたドン・エンガス

神話時代から残るドン・エンガスは謎だらけ

このドン・エンガスがいつ造られたのかは明らかではありませんが、多くの構造物は青銅器時代から鉄器時代の間、つまり紀元前のものであることを示しているそうです。アイルランドの先史時代を伝承した『来寇(らいこう)の書』で描かれる、かつてアラン諸島に土着したフィル・ボルグ族によってドン・エンガスが築かれ、当時の王の名をとってその名称がつけられたという解説がされることが多いです。一方、同伝承でフィル・ボルグ族を打倒したトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)のひとりで、ケルト神話にも登場する愛と若さを司る神オェングスがドン・エンガスの名称の由来になったとする説もあります。戦略目的で造られたのか宗教儀式のために造られたのかも不確かで、実際のところドン・エンガスに関する歴史的な事柄は謎に包まれたまま。しかし、それがかえってこの壮大な遺跡に対する想像力を膨らませます。2000年以上の時を刻むロマンたっぷりの絶景をぜひその目で確かめてみてください。

島を隅々まで満喫するなら泊まりで観光しよう

イニシュモア島にはドン・エンガス以外にも似た遺跡があるほか、初期キリスト教の教会遺跡ナ・ショフト・ジャンピル、ケルト十字が無数に立つ墓地などがあります。しかし、日帰りの自転車観光だとドン・エンガスともう1ヵ所に回るのが限界といったところです。ちなみに私は、ドン・エンガスと島の西の果て(港の対極)に行きましたが、天候が悪かったこともあり、かなり急いでもギリギリの時間でした。イニシュモア島の見どころを隅々まで回りたいこだわり派の方は、島の宿泊施設を使っての泊まり観光がおすすめです。続くその4では、イニシュマーン島についてご案内します。