“絶景”はどこにあるだろう

あなたにとって“絶景”という言葉が当てはまる場所は、どこですか?ただのきれいな景色を見ることにとどまらず、眼前の風景を“絶景”と感じる瞬間……。それはとても個人的な体験なのかもしれません。その風景によって、さまざまな思い出や忘れていた記憶が呼び起こされたり、逆にその風景を見たことを機に、それ以降のものの見方が変わってくるほどの影響を及ぼす。それが“絶景”と呼ぶにふさわしい風景といえるでしょう。私の場合、“絶景”という言葉で真っ先に思い浮かぶ風景は、イスラエルの砂漠の真ん中です。

あなただけの“絶景”を見つけよう(前編) あなただけの“絶景”を見つけよう(前編)

ネゲヴ砂漠の街ミツペ・ラモンへ

イスラエルのネゲヴ砂漠を、最南端の街エイラットからエルサレムに向かっていたときのことです。レンタカーで、エジプトとの国境沿いの国道を北上していました。イスラエルの南部地区は、ネゲヴ砂漠が大部分を占めています。真夏の砂漠は、万が一、車が故障やガス欠を起こしたら、命の危険さえある灼熱地獄です。安全を考えて、早朝にエイラットを発ち、絶対に明るいうちにエルサレムに到着しようと決心していましたが、それでもどうしても一箇所立ち寄りたかったのが、ネゲヴ砂漠のちょうど中央に位置する街ミツペ・ラモンにある「マクテシュ」と呼ばれる場所でした。

わからないからこそ行ってみたい場所

ここは長さ45キロに及ぶ大断層地帯なのです。「マクテシュ」とはもともと「すり鉢」や「すり鉢状の盆地」を意味するヘブライ語ですが、地理学的には「急峻な崖に取り囲まれ一本の涸れ谷で排水される特殊な浸食谷」を指す学術用語で、世界中でもネゲヴ砂漠とシナイだけに見られる地形です。ガイドブックに書かれた“一億年以上前の地球の地殻変動と雨水の浸食作用によってできた大クレーター”という紹介文を読めば誰だって「行ってみたい」と思いますよね。けれどもそこに載っている写真をいくら眺めてみても、ちっとも全貌がつかめません。それだけに、余計に気持ちをそそられました。