- 木場しのぶ
- ライター、コーディネーター、フォトグラファー。専ら端午の節句生まれを誉れとし、鯉幟を吊るす竹のように生きることを目指す。趣味・興味は多方面に渡るが、特に“食べて飲んで湯に浸かる”の3拍子をこよなく愛する。イタリア語通訳案内士資格を所持し、通訳としても活動。著書『蝦(エビ)で釣られたイタリア』は涙と笑いのイタリア滞在記。
出発エリアをに変更しました。
ローストチキンにローストポークetc…焼き具合は絶妙
なんで今まで知らなかったんだろう!?うーっ悔しー!!
と思わずにはいられないのがここ、「La Spada(ラ・スパーダ)」。店の存在は前から知っていたし、実際何度かローストチキンを買ったこともあるんですけど、私の脳には「ローストチキンのおいしい店」とだけ書き込まれてたわけなんです。でも実はそれだけじゃなかった。残念なミスを犯してたんです。
なぜ?って、ここは、フィレンツェ唯一の「炭焼釜」のあるレストラン兼ロスティッチェリアなんです。ちなみに「ロスティッチェリア」とは、辞書上は「焼肉屋」ですが、テイクアウトの店の全般をそう呼ぶことが多いです。
幅1mほどもある炭焼釜で、肉や野菜が焼かれる
フィレンツェは周知の通り山の幸が豊富で美味な土地。その肉料理の代表格が「フィレンツェ風ステーキ」…と、これも周知(?)。そして、ステーキのあるレストランは山ほどありますが、いかんせん現代は文明の利器を使って焼きます。フィレンツェ広し(?)といえど、街中で唯一「炭火焼き」を食べられる店がここなのです。
コーヒー豆さえより香ばしいと好まれる炭火焙煎。バーベキューがなぜおいしいのか、みんなでワイワイガヤガヤ食べるからだけじゃない。「炭火」で焼くと、本来の素材の持つ旨みが凝縮されるんですね。肉においては言うに及ばず、ナス、ズッキーニ、トマトといった野菜の甘いことといったら、超驚きでした。ただ切って焼いてるだけなのに……とは言うなかれ、シェフの腕(焼き加減)も大事。これまた、バッチリです。
オーナーの1人であリシェフのGiuseppe(ジュゼッペ)氏。店の入り口にある彼の調理場はオープンキッチン
もともと1880年にロスティッチェリアとして開業したこの店は、約110年後の1991年から現在の4人のオーナーの手に移り、この時にレストランを拡張して現在の形に。しかし釜も料理も従来の方法を受け継いだまま。毎朝10時頃になると、長さ1mほどもあるブナやカシ・ナラなどの薪に火が点けられ、牛、豚、鶏、兎といろいろな肉が焼かれ始めます。そしてロスティッチェリア開店の11時半には、ちょうと焼きあがりのアッツアツ。持ち帰りに私が断然お勧めするのはやっぱり「Pollo(ポッロ/鶏)のロースト」。ガラスケースの中を覗き込めばあなたもきっと、「コレ!」って自然と指してますよ(笑)。2人だと1羽の半分もあれば十分(約4ユーロ)でしょう。
グリルした肉の他にも、ラザーニャや惣菜などテイクアウトできる
レストランは、固定メニューの他に日替わりメニューもあって、金曜日のみ魚料理もあります。前菜から始まるセットメニューは24ユーロと破格値。
「客のお腹を空かせたままでは帰さない」とは、この店のモットー。まさにそのごとく、良心的な値段で料理は全てお皿にこんもり。その上、コペルト(席料)もサービス料も無し。すばらしい!気前が良すぎて感動さえしてしまうレストランは、ふとっ腹が顔に出てるオーナーたちの笑顔も最高です!
「Tagliata(タリァータ/”切られた”という意味):19,5ユーロ」は、フィレンツェ風ステーキと同じ骨付き牛肉。約500g、厚さ4-5cm。季節によリトッピング(チーズ、ポルチーニなど)が変わる
■La Spada(ラ・スパーダ)
住所:Via della spada, 62r Firenze
電話番号:(+39)055-218757
URL:www.laspadaitalia.com
営業時間:(テイクアウト)11:30〜15:00/18:30〜22:30、
(レストラン)12:00〜15:00/19:00〜22:30
定休日:なし(8/12〜18夏期休暇)
その他:約70席、日本語メニューあり
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/08/20)
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