- 木場しのぶ
- ライター、コーディネーター、フォトグラファー。専ら端午の節句生まれを誉れとし、鯉幟を吊るす竹のように生きることを目指す。趣味・興味は多方面に渡るが、特に“食べて飲んで湯に浸かる”の3拍子をこよなく愛する。イタリア語通訳案内士資格を所持し、通訳としても活動。著書『蝦(エビ)で釣られたイタリア』は涙と笑いのイタリア滞在記。
出発エリアをに変更しました。
「GARGA」の店内。壁画と彫像の空間を、照明や観葉植物が程よく彩る
「Buona sera(ブォナセーラ/今晩は)」とドアを開ければ、まずはそこで立ち止まるのが普通。たとえ噂には聞いていたとしても、「スゴイ!」と目が大きく見開くはず。正面も右も左もどちらを向いても、壁一面に絵・絵、そして絵。上を見上げれば、アーチ状の天井に描かれた裸体が、それ自体がオブジェクトでもあるフロアランプに照らされて妖艶に舞っているのです。隣の部屋との境には女性の上半身の彫像が2体。それぞれが独自の存在感を誇示しているにもかかわらず、不思議にもすべてがしっくりとまとまっている蠱惑的な空間なのです。
別の部屋には、また違った趣の絵が描かれている
芸術の街フィレンツェでアートに触れるのは、美術館やギャラリーに限りません。だってコレ、実はトラットリア(レストラン)の中なんです。ここ「GARGA(ガルガ)」の内壁は、オーナーであり画家でもあったジュリアーノ氏とシャロンさんや、彼らの友人たちが思い切り絵筆を振るえるキャンバスなのです。絵は抽象画やデザイン画の類が多く、毎年何かしら描き変えられるので、しばらく期間をおいて店に行くと雰囲気がガラッと変わってたりするんです。
手拭ハチマキ姿のシェフ、エーリオさん。奥様は日本人なので、日本には何度も行ったそう
彼らの絵画に向けた情熱はそのまま料理にも向けられて、もともと料理好きだったお二人は修行などすることもなく、芸術的繊細な感覚をフルに生かしてこの店を始めたのです。料理は、フィレンツェの郷土料理から、フィレンツェ料理を基礎にして発展させたアヴァンギャルドな料理まで多様。旬の素材を使うため、季節によってメニューから消えるものもあれば新しく参加するものもあります。
お勧め料理は、手長海老、又はいかすみ、ボンゴレといった海の幸のスパゲッティに、セコンド(第二のお皿)では牛の薄切り肉のアボガド・ソースかけなど。看板デザートである我々日本人が大好物のチーズケーキは、この味を作り上げるのにシャロンさんが3年を要したという努力の結晶です。ちなみにデザートは全てシャロンさんの研究により生まれたものだそう。
ボンゴレ・スパゲッティ(左/25ユーロ)、牛の薄切り肉のアボガド・ソースかけ(右/22ユーロ)
シャロンさんと言えば昨年、彼女の半生を語りつつ、たくさんの料理やデザートのレシピを惜しげもなく披露した本をアメリカ(英語)で出版しました。なぜアメリカなのかというと、彼女は約40年前に絵の勉強のためにこの街に足を踏み入れたカナダ人で、つまり母国語は英語なんです。さらに店から歩いて5分ほどの素敵なお宅で料理教室も開いているんですが、予約は殺到。店で出す料理を、これまた惜しげもなく教えちゃうんですヨ。
さぁフィレンツェの旅の記念に、「GARGA」のご自慢料理と共に胸躍るひと時をお過ごしください!
オーナーのひとりであるシャロンさん、店の入り口で
■GARGA(ガルガ)
住所:Via del Moro, 48r FIRENZE
電話番号:(+39)055-2398898
URL:www.garga.it
営業時間:19:30〜11:00
定休日:月曜
その他:約75席、ドゥーモから徒歩約10分、予約をお勧めします
■GARGA クッキングスクール
住所:Via delle belle Donne, 3 FIRENZE
電話番号:(+39)055-211396
URL:同上
その他:ドゥーモから徒歩約5分、要予約
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/09/14)
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