天使のような人格者、フラ・アンジェリコ

初期ルネサンスを代表する画家フラ・アンジェリコ。その名前こそあまり知られていませんが、彼の描いた代表作「受胎告知」を見れば、どこかで見たことあるかも、と思いかえす人もいるのではないでしょうか。本名はグイード・ディ・ピエトロですが、「天使のような修道士」という意味でフラ・アンジェリコとよばれていました。宗教熱心な修道士であると同時に画家としてイタリアのフィレンツェで活躍。彼の作品を見るため、3年前に訪れたのがフィレンツェにあるサン・マルコ美術館。中心地から徒歩で行くことができました。

イタリア・アートの旅。天使のような画家、フラ・アンジェリコを訪ねてフィレンツェへ イタリア・アートの旅。天使のような画家、フラ・アンジェリコを訪ねてフィレンツェへ

修道院だったのが、美術館として公開

サン・マルコ広場に面してサン・マルコ教会があり、その横にあるのが美術館。もともと修道院だったのが、現在は美術館となり、一般公開されています。ここに多くの作品を残したのがフラ・アンジェリコで、初期ルネサンスの作品を鑑賞するのには外せません。中でも「最後の審判」の祭壇画は、縦105x210cmとサイズも大きく、目玉となる作品です。天国と地獄に分かれた人々の顔や服装まで、テンペラで詳細に描かれています。他にも「十字架降下」も印象深い作品です。

「受胎告知」という、人気の主題

特に印象に残っているのが、2階へ上がる階段の先に掲げられた「受胎告知」。大天使ガブリエルが聖母マリアに「神の子を身ごもった」と伝えにきた場面で、キリスト教絵画の中でも最も多く取り上げられてきたテーマです。後の時代では、聖母マリアの純潔を示すのに百合の花が一緒に描かれることが多いですが、フラ・アンジェリコは描いていません。また、鮮やかな色使いをする画家ですが、この作品では落ち着いた色彩でまとめているのも、私の目を引きました。

美しい天使を見に出かけてみませんか

聖母マリアの顔を見ると、突然の告知に対する驚きは見られず、敬虔な姿勢で受け止めています。鑑賞している私にも、静粛な空気が伝わってくるようでした。そして、一番輝かしく華やかなのが、天使の羽。何色も使い大きな羽を塗り分け、天使の崇高さを表現しているようです。「天使のような修道士」は、天使を描く技術も素晴らしかったと見てわかりました。見に行ってから3年経った今も、また見に行きたいと思わせる作品です。宗教画に興味がなくても、美しい天使を見るのは興味ありませんか。フラ・アンジェリコの「受胎告知」を見に行ってみてはいかがでしょう。