天才レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた作品を見たい!

イタリアが輩出した天才画家の一人、レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は16世紀、イタリアのフィレンツェを中心に活躍した画家ですが、「万能の天才」ともよばれています。なぜなら芸術分野のみならず、数学や解剖学にも才能を発揮したからです。定数の黄金比を発見したり、専門的な人体解剖図を残しています。彼の絵画作品は、晩年を過ごしたフランスでも見ることができますが、私が興味を持ったのは「最後の晩餐」です。これを見るために、イタリアのミラノまで旅行することにしました。

イタリア・アートの旅。レオナルド・ダ・ヴィンチの奇跡の作品を訪ねてミラノへ イタリア・アートの旅。レオナルド・ダ・ヴィンチの奇跡の作品を訪ねてミラノへ

鑑賞者に錯覚を起こさせる構図とは?

ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会に「最後の晩餐」は展示されています。レオナルドの作品は未完成のものが多いですが、教会の食堂の壁に描かれたこれは完成しています。キリストが自らの運命を知り、12使徒とともに最後の食事をとる場面で、縦420cmx横910cmの大きな作品。テーブルを囲んで使徒が3人ずつ寄り添ており、安定した構図です。何度も画集などで目にしたこの作品ですが、実物を見たかったのには理由があったのです。それは、鑑賞者に錯覚を引き起こす「点」を見つけるためでした。

天才が残した、トリックの跡を見てみたい!

この絵は、一点透視図法という手法で描かれています。食堂で食事をする人らは、この遠近法によって面白い錯覚が起こります。壁画を通してさらに奥まで食堂がつながっているような、まるでキリストらと同じ空間にいるような錯覚です。天井や壁の直線が、中心に座るキリストへ向かって伸びていきます。線の消失点はキリストの左こめかみで、制作時にはそこに釘を打って直線を導き出したのです。見たかった「点」とは、この隠れた釘打の跡でしたが、肉眼では難しかったです。それでも、実物を目にしたときにしか味わえない、重厚な存在感をひしひしと感じることはできました。

残存していること自体が奇跡!

この作品は長い間、保存状態の悪い状況に置かれていました。壁画にはふさわしくないテンペラ画で描かれてたことや、湿度の高い食堂の壁だったことも関係しています。1943年には、アメリカ軍による空爆で教会が破壊され、この壁画は3年も雨風にさらされていたこともありました。これらの歴史を考慮すると、今に現存して私たちが鑑賞できること自体が、奇跡としか思えません。ミラノ中心地からの地下鉄やトラムでも行ける教会なので、立ち寄ってみてはいかがですか。