フィレンツェから日帰りできる町

フィレンツェから北東へ約100km、ラベンナという小さな町があります。古代ローマ時代から中世にかけて発展を遂げました。現在は人口15万人ほどの、とても静かな田舎の町です。5、6世紀頃からの初期キリスト教建造物や、その内部に残されたモザイク画を一目見ようと多くの観光客が訪れます。私もその一人。フィレンツェから早朝の電車に乗り、2時間半ほどで到着。駅から中心地のツーリストインフォメーションまで10分ほど歩き、町の地図をもらって、世界遺産に指定されている5カ所の共通券を購入。まずはそこから一番近いサン・ヴィターレ聖堂に入りました。

イタリア北部にあるラベンナの町は、幻想的なモザイク画の宝庫 イタリア北部にあるラベンナの町は、幻想的なモザイク画の宝庫

一番すごいのはここでした!

朝早かったせいか、聖堂内には観光客が少ししかいませんでした。教会内のクポーラ、壁、天井すべてを埋め尽くしているのはモザイク。あまりの美しさに感動し、落ち着いて見ていられないほど興奮してしまいました。ローマ人は、この気の遠くなるような作業に、一体どのくらいの時間をかけたことでしょう、と思いを馳せました。アーティストというより、職人技です。この聖堂裏にあるガッラ・プラキディア廟堂の天井は、真っ青の空に星がきらきらと幻想的に輝いていていました。昔の人は、宗教のフィルターをかけると、夜空もこう見えていたのでしょうか。もはや感動を超えて、凍りついてしまいました。

衰退したおかげで、生き残った奇跡

その後、他の聖堂や廟堂を巡り、写真や映像では伝わらない、神々しさすら感じるモザイク画を生で見られて大満足。町は6世紀末に衰退した後、重要都市にもなりませんでした。おかげで、戦争からの被害もなく、現在まで完璧な状態で保存されてきたことに奇跡すら感じました。駆け足で各所を巡り急いだのは、離れたところにあるサンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂まで足を伸ばそうと計画していたからです。バス乗り場へ行き、カフェテリアで切符を買おうしたとき。ウエイターのお兄さんが「今日の午後はバスのストライキだよ」と、衝撃的の一言!

ダンテのお墓で休息

日帰りの旅程なので、今回は泣く泣く諦めることにしました。行き逃してしまったことは残念ですが、また来る楽しみができたと前向きになるしかありません。帰りの電車まで時間があるので、他に観光する場所を探し、ダンテのお墓があることを知りました。「神曲」を書いた有名な詩人であり、政治家でもあった彼がフィレンツェを追放され、亡くなるまで住んだのがこの町でした。「弔いの火が消えることはありません。彼を追い出したフィレンツェからの、遺骨の返却依頼も断っています」なんて、団体ガイドの説明に耳を傾け、時間つぶしも有意義に過ごせました。