- 山盛菜々子
- イタリア在住。外国人記者クラブ所属。日本ではブルームバーグ、スカイイタリアのアジア特派員として生放送に出演。政治家、実業家、俳優、デザイナーなど、多数の著名人と対談。2006年4月に、フリーの記者として独立。ファッション、紀行、デザインの取材に関わることが多いが、文化、政治経済、エンターテイメントなど、ジャンルを問わずに幅広く活躍中。
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お墓、牢獄、秘密の避難トンネルとしても使われたサンタ・アンジェロ城。ペスト疫病から街を救った「聖天使」という意味の城は、123年頃にハドリアヌス呈(117−138)によって、彼自身と家族のためのお墓として建てられた。ローマ帝国でペストの大流行した6世紀に、大天使ミカエルが墓の上に現れ、疫病を克服したしるしとして、刀剣をさやにおさめたという伝説があり、聖天使の像が城の頂上に立っている。城壁とヴァティカン共和国は、パッセット(Passetto di Borgo)と呼ばれる秘密の通路でつながれ、外側からは城壁にしか見えないが、実は、800メートルほどの細長いトンネルになっていて、非常時に教皇の避難場所としての役目を果たした。ローマ教皇の住まいとして、また牢屋としても使われた記録がある。
ローマの建築物は、ほとんどがぼろぼろに荒廃され、当時の面影をそのまま残している遺跡が少ないが、サンタ・アンジェロ城は、例外で、約2000年のローマの歴史を途切れなく語り続けている。円筒型の城と要塞は、市内に流れるテヴェレ川の右岸に位置し、現在、国立博物館として一般公開されている。城の中からは、ローマが一望でき、パノラマが楽しめる。ライトアップされた夜景がすばらしく、ヴァティカン共和国のサン・ピエトロ寺院やテヴェレ川にかかる橋が見渡せて、ため息がでるほどロマンチック。城の中からの景色も最高だが、城壁にそっての散歩もおすすめだ。
年間を通して開催されているフォーマンスや特別展覧会も見のがせない。今年の夏から秋にかけては、ヴェネツィアの美術展と平行して、アーティストのロレダーナ・ラチティ(Loredana Raciti)の展覧会が行われている。スーダン出身のラチティは、古代の空間に、テクノロジーと現代美術を掛け合わせた作品を展示。世界遺跡とモダンアートを一挙に見学でき、まさに一石二鳥の機会である。城の入場券で、この展覧会も見ることができるので、お見逃しなく。
■サンタ・アンジェロ城
住所:Lungotevere Castello 50, Roma 00186
電話: +39-06-681.911.1
URL:http:// www.castelsantangelo.com
営業時間:09:00〜19:00
定休日:月曜日,12月25日、1月1日
Loredana Raciti 展示会は11月21日まで
PHOTO BY APT ROMA
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