- 山盛菜々子
- イタリア在住。外国人記者クラブ所属。日本ではブルームバーグ、スカイイタリアのアジア特派員として生放送に出演。政治家、実業家、俳優、デザイナーなど、多数の著名人と対談。2006年4月に、フリーの記者として独立。ファッション、紀行、デザインの取材に関わることが多いが、文化、政治経済、エンターテイメントなど、ジャンルを問わずに幅広く活躍中。
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家庭的な雰囲気が気楽でうれしい
「スローフード」という言葉は、1980年代の半ば、イタリアで生まれた。ローマの観光名所であるスペイン広場にマクドナルドが開店したことがきっかけである。世界共通のメュー、手っ取り早く調理し、短時間で食べられる食事が売りであるファストフード。マクドナルドのような、グローバルチェーン店がイタリアに蔓延することは、地元の伝統的な食文化が衰えてしまうという危機感をよんだ。
この危機感を感じたイタリア人の間で、ファストフードに対抗する「スローフード」を守ろうという動きが生まれた。各地の伝統的な食材を使って手の込んだお料理をつくり、おいしい郷土料理をゆっくり時間をかけて友人や家族と楽しむという習慣は、イタリアの食文化の一環なのである。
このようなスローフード運動のきかっけとなった街だからこそ、ローマ料理のアイデンティティーは特に強い。今回ご紹介するのは、老舗のピザ屋、ダ・バッフェット。毎晩の長蛇の列が有名で、地元のローマッ子も観光客も、1時間以上待たされるのは当たり前である。ローマ風のピザは、ナポリのピザと比べて、比較的、生地が薄手で、水っぽいのが特徴である。シンプルな、トマトソースとモッツァレラチーズのマルゲリータを試してみよう。柔らかいピザ生地にトロッとしたフレッシュチーズがたまらない。ちょっと物足りないという人は、プロシュート(ハム)とフンギ(マッシュルーム)のピザや、カルツォーネと呼ばれる二つ折りのピザもいいかも。
40年以上の歴史を持つピザは、変わらない味が人気
あまりにも人気で、待ち時間が長い割には、さっさと追い出されるのが難点だが、ローマっ子は、必ず一度は食べたこともあると言われているピザなので、試してみる価値は十分あり。
11時すぎにはやっと列がなくなりはじめるので、遅めの夕飯でもかまわないという人は、腹ごしらえを簡単にして、夜食代わりにもいいだろう。大きいが生地が薄手なので、ペロリと食べられてしまう。待つだけの甲斐は絶対あるので、気長に「スロー」なイタリアを楽しんで!
■ダ・バッフェット
住所:Via del Governo Vecchio, 114, Roma 00189
電話:+39-06- 686 1617
営業時間:18:00〜翌1:00
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/10/03)
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