- 山盛菜々子
- イタリア在住。外国人記者クラブ所属。日本ではブルームバーグ、スカイイタリアのアジア特派員として生放送に出演。政治家、実業家、俳優、デザイナーなど、多数の著名人と対談。2006年4月に、フリーの記者として独立。ファッション、紀行、デザインの取材に関わることが多いが、文化、政治経済、エンターテイメントなど、ジャンルを問わずに幅広く活躍中。
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首が痛くなるほど見続けずにはいられないミケランジェロの天井画
バチカンがこんなに有名になった一つの理由は、カッペッラ・システィーナにある。1475年−1480年の間に、ローマ法王の宮殿のチャペルとして建設された。この礼拝堂には、ミケランジェロの壁画やボッティチェッリ、ペルジーノのフレスコ画など、ルネッサンス時代のアーティストたちの作品が収められており、世界で一番有名なギャラリーと言っても言い過ぎではない。中でも一番有名なのは、やはり、ミケランジェロの「最後の審判」、天井画の一部である「アダムとイブの話」が描かれたパネルだろうか。これらの美術は、世界で最も有名なルネッサンスアートとして、現在でも世界中から訪れる観光客の目を潤わせてくれる。
巨匠アーティストとして名声を得ていたミケランジェロは、自分自身を画家ではなく、彫刻家と思っていた。しかしジュリアス2世はミケランジェロにフレスコ画を描くことを命じ、ミケランジェロは65歳という年齢で、カッペッラ・システィーナの天井画を描くことを仕方なく引き受ける。それから約4年(1508年−12年)もの歳月をかけて天井画が完成された。法王ジュリアスは、仕事を急がせるために、絵を描いていたミケランジェロをはしごから落とすと脅迫したとも言われている。また、ミケランジェロは、この仕事の最中に、視力を失ったそうである。
そんなエピソードが背景にあるカッペッラのフレスコ画は、一目見ると、あまりの豪華さに圧倒される。そして双眼鏡で見たくなるほど細かいディテールに凝ったこの作品は、ミケランジェロの最高傑作とも言われている。彼が自分の意志に反して描いた絵が、アーティストとして彼の名を世界に広めた芸術とは、何とも皮肉なことである。そして、天井の角に描かれたのは男性の裸体。男性の裸体は、カトリック社会でかなりの反響を呼んだ。フレスコ画に反感を持っていたミケランジェロの意思を表しているのか、挑発的な天井画であることには間違いない。
■ Citta' del Vaticano
交通:地下鉄A線のオッタヴィアーノ下車
http://mv.vatican.va/StartNew_EN.html
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