- 山盛菜々子
- イタリア在住。外国人記者クラブ所属。日本ではブルームバーグ、スカイイタリアのアジア特派員として生放送に出演。政治家、実業家、俳優、デザイナーなど、多数の著名人と対談。2006年4月に、フリーの記者として独立。ファッション、紀行、デザインの取材に関わることが多いが、文化、政治経済、エンターテイメントなど、ジャンルを問わずに幅広く活躍中。
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建物の一部になっているトレヴィの噴水
トレヴィの泉と言えば、ローマで最も有名な噴水。バロック時代に建てられた最大の噴水は、映画「甘い生活」の舞台にもなった。イタリアに一度も行ったことがなくても、この観光名所を知らない人はいないだろう。でも、「ポーリ宮殿は?」と聞けば、「それはどこ?」という人がほとんどではないだろうか。実は、このポーリ宮殿があってこその、トレヴィの泉なのだ。というのは、ポーリ宮殿の一部が、トレヴィの泉になっており、宮殿全体はローマのバロック建築を代表する建物である。そして、建物のイメージは、外をぐるっと1周してはじめて見えてくるのである。
バロック式のポーリ宮殿は、2000年以上の歴史を持つローマでは比較的新しい建築物だ。とは言っても、16世紀に遡るのがローマのすごいところ。宮殿の建設は、1573年に建築家ロンギに委託され、18世紀前半まで、建物の隅々が改築や増築された。もともとは、チェーリ宮殿と呼ばれていたが、1678年にポーリ家が建物を買い取り、拡大していったのである。こうして、ポーリ宮殿という名が定着した。全体的には、ロココ調の建物で、日中でも夜でも白い色が映えていて、街の一角を明るくしている。
こんなゴージャスな建物に住めば、想像力も刺激されるのだろうか。18世紀には、名高い詩人、ジュゼッペ・ジョアキーノ・ベッリが住んでいた。ベッリは、ローマの方言でソネットを綴った詩人で、彼の最高傑作はこのポーリ宮殿で生まれたと言われている。また、ローマの著名な文化人たちが集まり、読書会をよく開いたという記録も残っている。それにしても、贅沢な邸宅で、このような建物が見飽きるほどあるこの街は語りきれないほどの魅力にあふれている。
現在では、イタリア政府が建物を管理しており、ポーリ宮殿の別称は、「国立銅板印刷研究所」。実は、19万点もの貴重な銅板の写真や絵が収められている。また、ホールで、展示会なども頻繁に行なわれているので、公開されている時にあたれば、ちょっと覗いてみよう。
住所: Via Della Stamperia 6, Roma 00187
tel: +39 0669980242
www.grafica.arti.beniculturali.it/home.htm
最寄り駅:地下鉄バルベリーニ駅下車、徒歩10分
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/03/26)
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