- 山盛菜々子
- イタリア在住。外国人記者クラブ所属。日本ではブルームバーグ、スカイイタリアのアジア特派員として生放送に出演。政治家、実業家、俳優、デザイナーなど、多数の著名人と対談。2006年4月に、フリーの記者として独立。ファッション、紀行、デザインの取材に関わることが多いが、文化、政治経済、エンターテイメントなど、ジャンルを問わずに幅広く活躍中。
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ローマ最古のカフェ・グレコ
イタリア人は、コーヒーに関してはうるさい。たとえば、食後にカプチーノやカフェ・ラッテなどの牛乳が半分以上はいったコーヒーを飲むのはタブー。外国人ツーリストがレストランで食後にカプチーノを注文すると、イタリア人は見てみないふりをしているけれど、実は、気持ち悪いーとか思っているのだ。彼らにとって、牛乳は朝食の一部なので、日本で夕飯の後にトーストを食べるような感覚なのかもしれない。「カフェ」と一言に言っても、いろいろあるので、ここで一度説明しておこう。
カフェ :エスプレッソのこと
カフェ・マキアート :エスプレッソに少しだけミルクをたらしたもの
カプチーノ :泡だてミルクを入れたエスプレッソ
カフェ・ルンゴ :エスプレッソに比べて水の量が少しだけ多い
カフェ・ラテ :(泡なし)ミルク入りエスプレッソ
カフェ・アメリカーノ :フィルターコーヒーまたはエスプレッソにお湯を足したもの
カフェ・コレット :グラッパ入りエスプレッソ
カフェ・コン・パンナ :生クリーム入りエスプレッソ
それでは、「ローマでエスプレッソをせっかく飲むんだから…」という人には、カフェ・グレコ。1760年にオープンしたローマ最古のカフェだ。当時のローマには、ヨーロッパ中の多くの芸術家が刺激を求めて訪れた。カサノヴァ、ゲーテ、リスト、ワーグナー、スタンダール、レオパルディ、シェリー、バイロン…カフェ・グレコでエスプレッソを飲んだ芸術家は数知れない。スペイン階段からすぐのコンドッティ通りに面している。木造のバー、赤いベルベット張りの椅子と大理石のテーブルなどが昔の雰囲気をそのまま保っている。今でこそヴィンテージ家具が高級感をだしているけれど、当時は、あまりぱっとしない低級ホテルを兼ねたカフェだったらしい ! 貧乏なアーティストたちがたむろっていたのだろう。
エスプレッソというのは、もともと文化人が好んだ飲み物だった、とも言われている。1806年にナポレオンの発した大陸封鎖例によって、コーヒーの流通が減った時、カフェ・グレコの三代目のオーナーは、コーヒーの量を減らすことによって、一杯の値段を下げ、これがエスプレッソの元になったそうである。このアイデアは人気を呼び、カフェ・グレコも危機をしのいだということだ。そんな歴史のあるイタリアのカフェ。是非、由緒のある場所でいただこう。
住所: Via Condotti 86
Tel: +39-06 679 1700
メトロ Spagna 駅で下車
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