紀元前8世紀からある町

ヨーロッパを旅していると、何世紀も存在し続ける建物を見て「石の文化はすごいなぁ」とよく思います。自然災害や戦乱から逃れ、今現在も存在し続けられるその力強さを感じます。何世紀にも耐えられる利点もありますが、人々に古いものを壊さず大事に使おうとする精神が宿っているのだと感心させられます。町を歩いていると、ふと、様々な時代が交差した空間や場所に出会うことがあります。それがヨーロッパの旅の魅力の一つだと思います。例えば、ローマなんてどうでしょう。考古学者によると、ローマという町ができたのは、紀元前8、9世紀頃です。

時代が交差するヨーロッパの町 ローマ 時代が交差するヨーロッパの町 ローマ

「ローマの休日」スポットは今も変わらず

映画「ローマの休日」で、日本人にも広く知られるようになったローマ市内の各名所。あの映画から、すでに60年の月日が経っていますが、アン王女と新聞記者がデートするスポットは、今も変わらず存在しています。スクーターでコロッセオの横やヴェネツィア広場を走りぬけ、真実の口で記者が王女をからかったり。現在でも、その前では、同じポーズで写真を撮る観光客が後を絶ちません。変わったのは、映画ではスペイン階段でアン王女がジェラートを食べていましたが、今は飲食が禁止になったことくらいでしょうか。ストーリーも好きですが、私はあの町の映像に魅了されました。

アン王女もびっくりした、マンホールの蓋

例えば、映画でアン王女が寝ぼけて「自分の家」と指したコロッセオは、ローマ帝政期の紀元前1世紀に建てられました。もともとは古代のマンホールだったという石の彫刻「真実の口」は、紀元後1世紀と推測されています。そして、スペイン階段は18世紀のものになり、映画に出てくる名所だけでも時代が様々です。アン王女が髪をばっさり切ってしまう、印象的なシーン。美容院は、トレビの泉の近くという設定ですが、これも18世紀のものです。時代様式は異なっていても、石で作られているせいか、違和感なく町に溶け込んでいます。旅行前に、予習にもう一度見ておきたい映画ですね。

タイムスリップできる町

そんな歴史的建造物ばかりのイメージのローマですが、市の北の方へ行くと現代建築が見られます。21世紀現代アート美術館や音楽公園(オーディトリウム)はその良い例です。観光客はあまり足を踏み入れるエリアではありませんが、2800年も前から存在する町の上に、新開発がされていく様子はとても興味深いです。景観の保護のため、歴史的地区にはモダンな建物を建てない都市も多いですが、新しい建築もいつの日か時代の流れにつながっていくのだと思います。タイムスリップしたような錯覚を感じられる、時代が交差する町へ旅行してみませんか。