旅先の本は普段より深く読める

普段あまり本を読まない人でも、海外旅行に出かけるときに本を持って行く人は多いでしょう。移動中や乗り継ぎの待ち時間に読むため、という人がほとんどでしょうが、旅先ではなぜか本の内容がいつもより深く心に刻まれるもの。ぜひとも繰り返し読みたくなるようないい本を持参したいものです。出版は少し前になりますが、そんな海外旅行のお供として今回私がおすすめしたいのが、エリザベス・ギルバート著の『食べて、祈って、恋をして』(RHブックス・プラス)です。

旅に持参するなら厚めの本を

ジュリア・ロバーツ主演で映画化されたことでも知られるこの本は、結婚と恋愛に失敗した30代のアメリカ人女性作家がイタリア、インド、インドネシアのバリ島を1年かけて旅をし、元気を取り戻す体験をつづったもの。567ページとかなりボリュームがありますが、文庫なので持ち運びは手軽。苦しみのなかから著者がいかに回復していったかが見どころで、映画だとその苦しみの深刻さが描かれていないため、この作品の真価はわかりません。とくに舞台となっているイタリア、インド、バリ島を訪れる際に持っていけば、楽しく読めることうけあいです。

イタリアで「食」、インドで「祈り」を追求

イタリアのローマで、著者は「人生の楽しみ」を追求しようと決めます。それは「世界で一番美しい言葉」というイタリア語を学ぶ単純な喜びに身をゆだね、家族のように温かい人々に囲まれ、おいしい料理を味わいつくすこと。その結果大幅に体重を増やし、うつから解放されるのです。彼女が旅先の町で聞きまわり、おいしい料理を発見する場面は、読んでいる私も思わずわくわくしてしまいます。次に訪れたインドでは、アシュラム(道場)に入って瞑想し、ひたすら神に近づこうとします。アシュラムの生活のすがすがしさと、そこで出合う人々のおかしさ、著者がトラウマを乗り越える様子が描かれています。そしてついに彼女は、瞑想の最終目標地点にまで達するのです。

バリ島で人生のバランスを見出す

インドでの修行を終えて訪れたバリ島。ここで彼女は「人生にバランスを見出そう」と考えます。ウブドのゆるやかな空気と豊かな自然のなか、バリ伝統の治療師と親交を深めつつ、自然体で暮らすことをこころがけます。そんななかでさまざまな人と出会い、再び男性を愛する勇気を取り戻すのです。著者が自らを飾らずにさらけだす苦しみと悩みに、30〜40代の方はとくに共感を覚えることでしょう。とりわけ女性におすすめしたい本です。