門外不出の作品を見に行こう!

西洋美術に特に興味がない方でなくても、「イタリア・ルネサンス」やイタリア絵画の巨匠「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の名は聞いたことがあると思います。イタリアは、日本人にもよく知られた西洋美術の代表国。この国が芸術活動の中心となった時代は長く、様々な時代の作品が、現在でも多く残っています。ところが、門外不出のものが多いので、自分の目で見るには、現地を訪れるしかありません。そんな事情から、一枚の絵画作品を見るためにベネチアを訪れたことがありました。見たかったのは、ティントレット作の「最後の晩餐」です。

イタリア・アートの旅。ティントレットの衝撃的な作品を訪ねてベネチアへ イタリア・アートの旅。ティントレットの衝撃的な作品を訪ねてベネチアへ

独自の作風を作り出した、天才画家の作品

16世紀のルネサンス期に、ベネチアで活躍した画家、ティントレット。本名ではなく、父親が染物屋を営んでいたことから、染物屋の息子(ティントレット)と呼ばれていました。若くしてティツィアーノの弟子となって技を学びます。主に宗教画を描き、注文主は教会や信徒会でした。見慣れた宗教画の同テーマを、異なった魅力で鑑賞者を引き寄せる独自の作風を持っていました。私は、彼の絵画集で「最後の晩餐」を見たとき、ドラマチック性を持ったその構図がとても気に入りました。そして、本物が掛けられたサン・ロッコ同信会館へ行くことにしたのです。

多くの画家に描かれた「最後の晩餐」とは

「最後の晩餐」とは、新約聖書でキリストが処刑される前日の夜に12使徒ととった夕食のこと。キリストは自分の運命を悟り、パンは自分の体、ぶどう酒は流される血だと使徒に伝えて、パンとぶどう酒を与えます。宗教絵画でよく扱われてきたこの主題を、ティントレットはキリストが食事中に「この中に裏切り者がいる」と発言した、衝撃の瞬間を描いたようです。本物の作品を見たとき、この衝撃が画家独自の構図によって、より劇的に演出されていると感じました。本物を見る面白さは、実際に向き合った時にしか分からない、と実感したのです。

ベネチアが特別な場所なわけは

ベネチアでは他の場所でも、ティントレットの作品を鑑賞することができました。サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂には、晩年の「キリストの埋葬」と別の「最後の晩餐」がありました。これらも彼らしい斜めの構造を使っています。画家が自分のスタイルを見つけた後に描かれた作品は、とても魅力的です。ティントレットにこだわって旅行したベネチアは、私の中で特別な印象を残しています。もちろん観光のおすすめスポットはティントレットだけではありませんが、あっさり観光するより、テーマを絞った旅行は楽しくておすすめですよ。