ベネチア共和国の中枢だった宮殿

水の都ベネチア。「海の帝国」として、1000年あまり栄えたこの都市共和国の中心だったのが、サン・マルコ広場の南側、運河に面して建つドゥカーレ宮殿です。ベネチア観光といえば、まずサン・マルコ寺院でしょうが、それに隣接しているこの宮殿も見学必須の建物。というのも、ここはベネチアを治めていた総督の居城であり、元老院や十人委員会、評議会などベネチアの国政を司る人々が集まり、討議を重ねる場所だったのです。また、外国からの使者と謁見する華やかな部屋もあれば、政治犯を収監する牢獄まであるという場所でもありました。首相官邸と国会議事堂、迎賓館、そして刑務所がすべて同居した場所だったのですね。今回は、このドゥカーレ宮殿を紹介したいと思います。

ドゥカーレ宮殿の中庭。正面にサン・マルコ寺院のドームが見える ドゥカーレ宮殿の中庭。正面にサン・マルコ寺院のドームが見える

王制ではなく、共和制を選んだベネチア

西ローマ帝国崩壊後、ヨーロッパに現れた多くの国々は、国王と領主たちが契約を結ぶ封建制の王国でした。しかしベネチアは、国王をもたずに貴族たちが共同で統治する、“共和国”の道を歩みました。人口も領土も小さな都市国家だったことから、貴族たちによる民主政が可能だったのです。ベネチア共和国は7世紀末の建国と言われていますが、初期のころは周辺諸国からの侵略が絶えませんでした。8世紀の創建というドゥカレーレ宮殿も、最初は城塞としての役目が強かったといいます。11世紀からベネチアには、地中海貿易や十字軍への協力などで莫大な富が集まりだし、15世紀にかけてその全盛期を築きます。現在のドゥカーレ宮殿は、そうした富の上に14〜15世紀に築かれたものが基本になっています。

宮殿の入口と開館時間

それでは、さっそくドゥカーレ宮殿に入ってみましょう。入場口は、サン・マルコ広場から小広場に抜けた、運河側にあります。開館時間は、4〜10月の夏期が8:30から19:00まで。11〜3月の冬期が17:30まで。閉館1時間前に切符売り場は閉まりますが、中はとても見応えがあるので、2時間は見学時間をとったほうがいいでしょう。中に入ると、まず回廊に囲まれた広場に出ます。広場を前に立ち、正面を見上げるとサン・マルコ寺院のドームや屋根の部分が見えます。見学は、まず右側の階段を4階まで登り、4→3→2→1階と降りてきながら見るといいでしょう。階段の1階脇と2階への途中にトイレがあります。ベネチアではトイレを見つけるのに苦労するので、ここで入っておくといいでしょう。宮殿見学は2時間ほど立ちっぱなしなので、けっこう疲れます。そんな時は宮殿内にカフェがあるので、そこで休んでもいいでしょう。(その2に続く)