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中東旅行屈指の人気観光地ペトラで、“茶道”を考えていた(その2)


掲載日:2014/08/03 テーマ:遺跡 行き先: ヨルダン / ペトラ

タグ: 遺跡 世界遺産 素晴らしい


エル・カズネに至る“シク”の意味

中東旅行屈指の人気観光地ペトラで、“茶道”を考えていた(その2) 中東旅行屈指の人気観光地ペトラで、“茶道”を考えていた(その2)

そんな閉所恐怖症になりそうな天然の廊下の行き着く先が、エル・カズネなのです。薄暗く、狭苦しい崖の裂け目から、夢のようなバラ色の建造物が、最初はちょろりとほんの一部分だけ姿を現します。「あっ!見えた!」全貌の見えないことがもどかしく、けれどもその“ちょろり”は、限りなくミステリアスで蠱惑的です。つまり、シクの終着地点がエル・カズネの建つ広場に通じているのです。さんざん狭い道を歩かせて、ちらりちらりと姿を見せていき、最後にはいきなり広い場所に解き放って、その正面に立ちはだかる荘厳な宝物殿。それもマーブル模様でバラ色をした、高さ30mの、造りたてのように美しい遺跡です。人を驚かせ、感動させる手管をすべて計算済みのような見せ方に、ただもう言葉がありませんでした。

ナバテア人が後世の人間に残した宝物

自然の地形を十分に活用した――活用などという平凡な表現では物足りないのでこう補足します――自然に寄り添い、折れ合っているように見せかけながら、その実このロケーションの主導権・決定権は完全に人間の手に握られている、そんな、狡猾とも呼びたくなるほどの古代人の華麗な罠にまんまと落ちて、人はたわいなくそれを喜ぶ。そう、エル・カズネはナバテア人の宝物殿であると同時に、まさに人類の宝だといえます。

急に“茶道”に思い至ったのはなぜ?

シクから出て視界がサッと開けたとき、なぜかお茶会の席をいきなり思い出しました。私は学生時代に茶道をやっていて、当時はたまにお茶会に出かけました。名のあるお茶室というのは、たいてい外見はいまにも崩れ落ちそうなくらいに古びています。そして中に入る入り口は、悪意さえ感じるほど、せまく小さいのです。ぎゅうっとかがみ込み、腰を折り曲げてお茶室へとにじって入った瞬間が、一息に意識を天上世界へと連れて行かれる至福のときです。ひかえめに焚きこめられたお香のかおり。花入れに挿された、愛らしい花。釜から絶え間なくあがる、一筋の白い湯気、釜の中で静かに反響しつづける、お湯の沸く音。服と畳がサッとこすれるかすかな音。私は、お茶を飲むときより、またお茶をいただいたあとで立派な道具を拝見するときより、最初にお茶室に入るその瞬間が大好きでした。(その3へ続く)

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2014/08/03)

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