ラトビアの天才建築家エイゼンシュタイン

リガのアールヌーヴォー建築は、ミハイル・エイゼンシュテイン(1867〜1922)という一人の天才建築家を生みました。エイゼンシュテインはラトビアの建築史に燦然と名を残す偉大な建築家ですが、現在ではむしろ映画『戦艦ポチョムキン』を撮ったセルゲイ・エイゼンシュテインの父親として知られています。彼の代表作はリガの各地に残されていますが、とりわけこのアルベルタ、エリザベテスの2つの通りに集中しています。旧市街から外れてこの通りに足を踏み込み、あたりの雰囲気が変わってしまうのは、アールヌーヴォー建築であるだけでなく、独特なエイゼンシュテイン建築のせいでもあったでしょう。

リガの一画で突き当たるエイゼンシュテインの建築群(後編) リガの一画で突き当たるエイゼンシュテインの建築群(後編)

エイゼンシュテインのアールヌーヴォー建築

エイゼンシュテインは建物の正面を、人間の顔や動物、あるいは植物などで装飾し、そこにラトビアの民話や神話を織り込んでいきました。とりわけエリザベテス通りにあるアパートは、過剰なほどの装飾と、象徴的なモチーフで埋め尽くされ、見るものを圧倒する迫力です。高さが2mほどもある巨大な顔が建物の上から見下ろしていたりするのです。また、エイゼンシュテインが第一次世界大戦の直前に造った建物には、兵士の顔をモチーフにした装飾があります。時代背景から考えると、ロシア帝国に対する兵士、または騎士だと思われますが、皮肉にも、ソ連時代にはこの建物がソ連の秘密警察のオフィスに使用されたそうです。

アールヌーヴォー建築も世界遺産に登録を!

現在では、多くのヨーロッパ人観光客がリガのアールヌーヴォー建築を見にやってくるようになっています。しかし、残念ながらエイゼンシュテインの作品を含めた一部の建物は、荒れたまま放置されています。旧市街は世界遺産に登録されましたが、この一画は旧市街から外れているのです。この貴重な建築群も世界遺産に登録されて、未来に向けて保存されることを願わずにはいられません。もしリガにいらっしゃいましたら、旧市街だけでなく、こちらまで足を伸ばしてみて下さいね。