スパイ活動ではなく、犠牲者を弔うKGB博物館

博物館の前には犠牲者の記念碑があり、入場前からどうもタリンのKGB博物館とは様子が違うな、と肌で感じていました。ガイド付きでなければ、2ユーロ(約260円)の入場料と、館内の写真を撮りたければさらに2ユーロ払うシステムです。クロークもあるので、荷物やコートを預けている人もいましたが、私はコートを着たままにして正解だったと後で思いました。理由は後ほどにして、まずは1階の展示から。ソ連支配下の中でいかにリトアニア人が犠牲になったかが、写真や説明とともに展示されていました。

スパイ活動ってどんなことをするの? リトアニアとエストニアのKGB博物館(その3) スパイ活動ってどんなことをするの? リトアニアとエストニアのKGB博物館(その3)

リトアニア人の独立に向かう熱意が感じられる

基本的に、リトアニア語と英語で説明がつけられていますが、すべてを読むには2時間越えてしまうほどの膨大な情報量でした。この博物館を通して、過去の歴史を世界に知って欲しい、との願いが伝わってきます。なかでも私の興味を引いたのは、時代が進み、リトアニア人によるソ連に対するレジスタンスの様子でした。山に潜んで生活し、活動していたグループの中に若い女性もいました。地下組織による新聞発行の活動もありました。風刺画は解説を読まなくても、伝えたいことが分かるので見ていて面白いです。

地下がヒヤッとするのは、こんな場所だったから

2階には、国が独立へ向かっていく様子も展示されています。エストニアから、ラトビア、リトアニアの国民が手を繋いで、独立を訴えた1989年の「人間の鎖」の写真もまた心を強く打ちました。全展示を見終わり、博物館の地下へ降りたときです、コートを着ていた良かったと思ったのは。地下という場所の室温が低かったというだけでなく、地下は当時の牢獄を公開していたので背筋が寒くなるようなゾッとする場所だったのです。真っ暗な部屋に置かれたベットと便器が置かれた独房や図書室など、いくつもの小さな扉越しに当時の様子がそのままに展示されていました。

歴史を学ぶのに、違った視点の2つの博物館

そして最も衝撃的だったのが、囚人たちが処刑されていた部屋に知らずと入っていったときです。部屋で流されていた映像を見ていると、出てきたのは処刑シーン。その遺体が部屋の上部にある、外へと繋がる窓へと放り込まれていくのを見たとき、気がついたのです。今、自分がいる部屋の上部にも同じく窓のような穴が開いていることに。つまりこの部屋がその処罰が行われていたことに、ショックを受けたのは言うまでもありません。見終わった後は、歴史の勉強をした充実感もありました。2つのKGB博物館は、同じ歴史でも違った視点で学べるので、一見の価値があります。