年に一度のラマダン月にモロッコ入り

スペイン発モロッコ行の船の中、何やら乗客がざわついています。聞けば、翌日からラマダン(断食月)なのだそう。「いやでも私は関係ないし」「そもそも全員が断食してるわけじゃないんだろう」と特に意に介せずいましたが、モロッコ入りしてみると、やんちゃそうな若者も、まだ信仰も何も分からなそうな子供たちも、ほんとにみんな食べてないんですね。街中のレストランも日中は観光客が来るようなお店しか開いていない状態です。ということで、郷に入ればなんとやら、私もラマダンに挑戦してみることにしました。

体に優しいハリラや木の実、卵などが並ぶラマダン時の夕食 体に優しいハリラや木の実、卵などが並ぶラマダン時の夕食

とにかく耐える、ひたすら耐える

ルールは日の出から日没まで(4〜19時頃)は物を喉に通すのはNG。なので厳密に言えば唾も飲み込んではいけないことになりますが、私はそこは自粛しました。まず、前日の夕食は腹持ちの良さそうなクスクスをたらふく食べてラマダンに備えます。翌朝、目が覚めて乾燥した空気のせいで喉がカスカスでも水は飲めません、耐えます。日中は、体力の消耗を避けるために極力身動きはとりません。地元の人たちも朝から昼寝とかしてました。昼過ぎ、ホテルでお菓子を食べる欧米人旅行者に羨望の眼差しを向けながら、それでも耐えます。現地の人たちもイライラしているのが伝わってきます。

空っぽの体にラマダン食がしみる

17時を過ぎるとゴールはすぐそこ。みんなソワソワ。でもこの1〜2時間が意外と長い……。18時半頃から誰もが仕事を切り上げ食堂の席に着き、出されたラマダン中専用の食事を前に、日没を知らせる合図をひたすら待ちます。犬の「待て」の気持ちが痛いほど分かります。そしてついに街中に「アザーン」の放送が響き渡ると、みんな一斉に食事を始めます。この数分間は喧騒の町が静まり返るのである種不気味な空気が流れます。この時に食べるハリラというスープのおいしさはなかなか形容しがたいものがあります。しみます。その後は何をどれだけ食べてもOK。タバコも吸えます。夜の街は元気を取り戻した人々で大にぎわいです。

ラマダン中はイスラムをもっとも感じられる時期

ヘタレな私は3日でギブアップ。これを1か月間、暑い日も水すら飲めず、しかも普通に仕事もしなくてはいけないとなると相当つらいだろうと思うのですが、本人たち曰く、体が慣れるまでのはじめの5日間と体力が落ちる最後の5日間以外は案外いけるとのこと。ラマダンの目的として、「神を畏れかしこむ気持ちを起こさせるため」とコーランに記されているそうですが、彼らの信仰心の強さには驚かされました。そんなイスラム色を最も感じられるラマダンシーズン。旅行にはちょっと不便な時期でもありますが、あえて旅してみるのも興味深いと思いますよ。