イエスの生涯を通して描こうとすると、映画よりテレビ向き?

「イエス・キリストの生涯を映画で知る」その3です。1977年には、『ロミオとジュリエット』などで知られるイタリアのフランコ・ゼフィレッリ監督によるテレビ映画『ナザレのイエス』が作られました。もとは9時間のテレビドラマで、これを映画用に3時間に編集したものが日本で公開されました。私は未見ですが、かなり聖書に忠実なようで、DVDで発売もされています。こうしたイエスの生涯を通して語ろうという映画は、だんだん作られなくなってきましたが、2014年にはヒストリーチャンネルのシリーズ「ザ・バイブル」全10話から、イエスの生涯部分を選んで再編集した『サン・オブ・ゴッド』が作られています。確かに、生涯の有名エピソードを網羅しようと思うと長いので、テレビのほうが向いているのかもしれません。

ヨーロッパに行く前に観たい! イエス・キリストの生涯を映画で知る その3 ヨーロッパに行く前に観たい! イエス・キリストの生涯を映画で知る その3

巨匠スコセッシによる、斬新なイエス・キリスト

1988年には、いよいよ問題作『最後の誘惑』が公開されます。これは『その男ゾルバ』などで知られるギリシャのニコス・カザンザキスによる小説『キリスト 最後のこころみ』を、カトリックでもあるマーティン・スコセッシ監督が映画化。イエスを非常に“人間的”に描いたため、各国で上映禁止騒動が持ち上がりました。「聖書のあの物語が、こういう解釈になるんだ」という点では、信者ではない私のような日本人にはかなり面白いのですが…。ロケはモロッコのマラケシュやメクネスのメディナ、ムーレイ・イスマイル廟などで撮影されました。

メル・ギブソンによるイエスの受難劇

2004年には俳優のメル・ギブソンが、イエスの処刑までの12時間を描く『パッション』を監督しました。信心深い彼ですが、話題になったのは何といってもイエスが受ける拷問シーン。これをリアルに描いたせいで、アメリカの劇場では、観ていた女性が心臓発作で死亡するという事件も起きたとか。こちらのロケ地は南イタリアのマテーラだそう。峡谷の脇にそびえるこの町を、ギブソンはエルサレムに見立てました。実際のエルサレムは、こんなにそびえていませんが(笑) また、言葉を英語ではなく、当時ユダヤでよく話されていたアラム語とローマの共通語であるラテン語にしていることも話題になりました。さあ、ここまでで紹介した映画のうち何本かでも観れば、美術館や教会できっと「ああ、きっとこれはあの話だ」とわかるようになると思いますよ。ぜひ、観てください。