スペインからモロッコへ1時間半の旅

イベリア半島南端にほど近い港町、スペインのアルヘシラスまで来ると、白い建物と青い空のアンダルシアの風景の中に、イスラム風のワンピースや、ヒジャブというスカーフをかぶった女性が多くなったように感じます。それもそのはず、ジブラルタル海峡の対岸40キロ先が、もうアフリカ大陸のモロッコなのです。フェリーで約1時間半。スペインのアンダルシア地方は、かつてイスラム教の支配地域で、有名な「白い村」は、キリスト教徒からの迫害を恐れたイスラム教徒たちが要塞化して作った町なのです。グラナダのアルハンブラ宮殿も、セビーリャのスペイン最大のカテドラルも、元はイスラム宮殿、モスクだったのです。ここまで来たら、イスラム世界を見ないわけにはいかないでしょう。スペイン南部はキリスト教とイスラム教が、グラデーションのように色彩豊かに変化していくように見える地域です。

もうすぐモロッコのタンジールだ! もうすぐモロッコのタンジールだ!

スペインの白い村は、なるほど、これを真似たのだ

フェリーの搭乗者は、当然のようにモロッコ人が多数でした。片道52.5ユーロ(約6500円)。ほどなく殺風景なタンジール港に到着。正面の丘の斜面に「ホテル コンチネンタル」の看板が。ジブラルタル海峡を見ながら泊まるなんて、オツですね。三ッ星でツインで1泊58ユーロ(約7100円)。このホテルがちょうど、タンジールのメディナの下のほうに位置しています。モロッコの旧市街メディナは、建物の色も白くて、スペインの「白い村」に似ています(ホントはその逆、スペインがモロッコの真似をしているのですが)。丘の上に集落を作り、敵から守るために要塞化するのです。モロッコのフェズの町が典型的ですね。タンジールもフェズのように、メディナの中は迷路のようになっていました。ぶらぶら歩いてカフェでミントティーを飲み、土産を見ながらそぞろ歩きます。

ホテルコンチネンタルより、メディナとジブラルタル海峡 ホテルコンチネンタルより、メディナとジブラルタル海峡

勝手にガイドさん

メディナを歩いていると、あとからあとから「道案内するよ」と声が掛かります。私設ガイドです。ロバが行き交い、ご婦人方は完全にイスラム風の服装で、男性もジェラバというワンピースを着た人を見かけます。風景が完璧にイスラム化しています。反対に、スペインでもバルセロナあたりまで北上すると、イスラムの匂いはかなり薄くなりますね。土産屋の人の話では、今でも夏になるとアンダルシアのオリーブ採りに出稼ぎに行く人が多くいるそうですし、さらにフランスまで北上し、移住する人も絶えないようです。次第に暗くなってきました。ホテルまでの道順がこんがらがってきてしまいます。なにしろ似たような店ばかりで、周囲の景色も遠望できないのです。スペインではあり得ない現実との落差が、やけに面白いです。

タンジールのメディナの門 タンジールのメディナの門