- ミツフィ
- 東京で外資系企業のデザイン部勤務後、オランダ人との国際結婚でオランダ在住。現地でデザイナー、絵師、ライター、コーディネーター等従事。オランダ人に囲まれた環境の為、旅行、グルメ、歴史、音楽、アート、サッカー等ネイティブ仕込みのオランダ情報を幅広く配信。職業柄アニメ等、海外での日本ブームにも詳しい
出発エリアをに変更しました。
11月から12月初旬のオランダのお店は、シンタクラースにちなんだディスプレイで華やか
11月中旬にオランダへ到着したシンタクラースとズワルトピート。12月5日によい子達へプレゼントが配られる日は、オランダ人が子供時代に必ず体験するファミリーイベントです。
オランダの子供達はシンタクラースの日までに、暖炉やヒーターの横にシンタさんからのプレゼントが入る自分達の靴を置きます。12月5日の晩に子供達が寝静まると、シンタさんの僕のズワルトピートが煙突を伝って降りてきて、靴の中にプレゼントを入れるのです。しかし勿論時代は現代。煙突のない家が圧倒的大多数ですよね。では現代のオランダ人はどのようにしているのかというと、暖炉の代わりにヒーターの脇に靴を置くのです。
家庭訪問をするズワルト・ピート。毎年この時期にオランダ各地で見られるサービス
こんな話を聞くと「クリスマスのサンタクロースに似ているな」とお思いの方もいるでしょう。実は開拓時代のアメリカへ移民したオランダ人たちによって伝えられたシンタクラースが、後世に現在の形のサンタクロースになったと言う説があります。赤い司教服のシンタクラースはとんがり帽子のサンタクロースへ。馬はトナカイへと変化していったのも面白いですね。
シンタクラースとズワルト・ピート達は、上陸後はシンタクラースの日までオランダ各地の幼稚園や学校などの施設、そして各家庭を訪問します。実はシンタクラースやピートに扮するサービスがオランダ各地にあり、お父さんやお母さんが家庭訪問を依頼します。ピートがドアをノックしプレゼントを渡しにくる。子供達は本物のシンタさんとピートが来た!と大喜び。子供の夢を大切にするオランダならではの暖かい伝統です。子供達に特に人気があるのはズワルト・ピートなので、オランダ中でピートのディスプレイや、顔を黒塗りにしたオランダ人達がお目見えします。
シンタクラースの時期だけに特別に売られている頭文字のチョコレート
さて、シンタクラースのプレゼントは皆さんも御想像の通りお父さんとお母さんが用意します。勿論子供達には「シンタさんからのプレゼント」ということになっています。そのため12月5日までのオランダはプレゼント商戦が白熱します。12月5日間際になると、各地のお店は子供へのプレゼントを買う人々で大繁盛。
またシンタクラース用の特別のお菓子もお目見えします。マジパン、「スペキュラース」というジンジャー・クッキー、シンタクラース用のケーキ、シンタクラースやピートのチョコ、そしてアルファベットのチョコレート。お菓子売り場のディスプレイを見ているだけでもワクワクします。アルファベットのチョコレートは、それぞれの名前の頭文字のチョコレートを渡すのが習慣で、これは大人たちも挨拶代わりに交換します。
シンタクラースの代表的なお菓子。頭文字のチョコレート、ジンジャークッキー、ジンジャーとアーモンドのケーキ、マジパン
11月中旬のシンタクラースの到着から12月5日のシンタクラースの日まで、各地でシンタクラースとズワルト・ピートのイベントが開催され、テレビでも中継されます。ニュースでも「本日シンタクラースが到着しました」と他国の大使が到着したように伝えられます。国やメディアも協力し合って「シンタクラースはいるんだよ」と子供の夢を育む体制が整っているのです。これはオランダの心の教育の優れた一面を現しています。
シンタクラースのシーズンは独特の雰囲気のオランダ。この時期だけのアルファベット・チョコレートやシンタクラースのグッズは楽しい記念になります。
そしてオランダの大人達全体で子供達の夢を育む伝統に触れることが出来ます。「大人達が心豊かでなければ、心豊かな子供は育まれない」と実感しますね。日本がヨーロッパから本当に学ぶべき所は、このような心の教育だと思います。
お店のディスプレイもズワルト・ピートの方が人気がある
開催:11月中旬から12月5日までのオランダ各地
デパートや商店など
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/10/29)
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