- ミツフィ
- 東京で外資系企業のデザイン部勤務後、オランダ人との国際結婚でオランダ在住。現地でデザイナー、絵師、ライター、コーディネーター等従事。オランダ人に囲まれた環境の為、旅行、グルメ、歴史、音楽、アート、サッカー等ネイティブ仕込みのオランダ情報を幅広く配信。職業柄アニメ等、海外での日本ブームにも詳しい
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バシリカの祭壇。見事な天井画が描かれている
オランダ南部の古都マーストリヒト。ローマ時代から続く古都だけに、歴史的建造物も数多く目にします。オランダ屈指の美しい教会も幾棟かあり、聖セルファース教会もそのうちの一つです。オランダ語や英語訳では「聖セルファースのバシリカ」といいます。バシリカ(basilica)とは、中央部分を側廊によって取り囲む建築様式で、古代ローマ建築まで起源は遡ります。また、この建築形態を用いた教会施設もバシリカと呼ぶ場合があります。
聖セルファース教会外観。ツインタワーが目印
聖セルファース教会の歴史は古く、実に4世紀まで遡ります。聖セルファースはマーストリヒトの守護聖人で、4世紀のマーストリヒトの司教です。または、オランダ最初の司教とも言われています。そしてここ聖セルファース教会は、その名の通り聖セルファースを祀る教会です。聖セルファースはアルメニアに生まれ、エルサレムの聖職者などを経て、マーストリヒトの司教となりました。そして西暦384年の5月13日にここマーストリヒトの地で生涯を終えました。市民は彼の死を悼み、小さな木造の教会堂を建て、それが聖セルファース教会の始まりといわれています。やがて聖セルファースは神聖化され数々の聖人伝説を生み、教会も増改築されていきます。現在の建築は11世紀ごろから建立されていきました。
色鮮やかなBergportaal
聖セルファース教会はカトリック様式なので、プロテスタント教会に比べ華やかな印象を受けます。バシリクの壁画やステンドグラスもカラフルな美しさに溢れています。祭壇はトスカーナ産の大理石。そして13世紀に建てられた教会の南部の『ベルグポタール(Bergportaal)』も見事な眺めです。マース川側に面し明るく開けた堂内には、旧約聖書のエピソードや聖母マリアの彫刻が数多く刻まれ、ここだけで写真を何十枚も撮影したくなります。そして、黄金のセルファース像や聖人にまつわる数々の品が公開されている宝物殿も一見の価値があります。
バシリカの壮麗なパイプオルガン
カトリック教会なので、1984年には当時のローマ法王ヨハネ・パウロ二世もこの聖セルファース教会を訪問なさいました。また最近では2001年10月に、現在のオランダ皇太子夫妻も聖セルファース教会を訪問なさっています。
オランダ南部の美しく由緒あるバシリカ。そしてローマ法王も訪れ、オランダ南部カトリック教徒の畏敬を集める聖セルファースゆかりの教会。
マーストリヒトという街の空気を堪能する、絶好のスポットのうちの一つですね。
バシリカ内部
■ 聖セルファース教会(St.Servaasbasiliek)
所在地:Vrijthof, Maastricht(フライトホフ広場)
開館日:毎日 午前10時〜午後5時(7月、8月は午後6時まで)。但し、11月〜3月の日曜:午後1時から
宝物館:午前10時から午後4時30分まで
休館日:1月1日、カーニバル(2008年は2月2日〜5日)、イースター(2008年は3月23日)、12月25日
入場料:宝物館は3.5ユーロ、バシリカは無料
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2008/01/30)
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