フィヨルドの複雑な地形の町と町を結んできた船

ノルウェーの西海岸は、複雑なリアス式の地形と、数カ所にあるフィヨルドでできています。フィヨルドは、氷河がえぐりとった大地の爪痕と言ってもよく、最大のものは南部にある世界遺産の町ベルゲン近くのソグネフィヨルドです。長さが200キロ、高低差が1000キロになる場所もあり、自然の威容をいかんなく見せつけられます。そこから400キロほど北には世界遺産に登録された西ノルウェーのフィヨルド群があるほか、ノルウェー最初の首都だったトロンハイムは、フィヨルドの中に位置した町です。その昔天然の要害に守られたこの町から、バイキングが出港していたと言われています。今でこそ道が通りましたが、19世紀後半に、海岸沿いの町と町を結んだのが、沿岸急行船の「フッティルーテン」です。物資輸送が格段に楽になり、今ではその航海ルートを使って、クルージングも行っているのです。

これぞ絶景! 真冬のノルウェー。世界でもっとも美しい船旅へ これぞ絶景! 真冬のノルウェー。世界でもっとも美しい船旅へ

世界でも最も美しい船旅

「フッティルーテン」の本来の目的は物資輸送にあるため、ノルウェー西岸の小さな34もの町や村に立ち寄ります。そこが大型クルーズの旅とは決定的に違うところです。2400キロの航路を、北行きならば6泊7日で結びます。南部ベルゲンからのスタートです。海に向かって色とりどりの家々が並んでいるのは、まるで絵のよう。さすが世界遺産です。船が北上するにつれ、極寒の北国で暮らす人々の生活を垣間見ることができます。雪に閉ざされた真冬の小さな町の風景は美しいこと、この上ないくらいです。偉大な自然とちっぽけな人間を、船旅をしながら感じることができるのです。ちっぽけな人間の営みは、愛しくなるほどです。世界的ガイドブック「ロンリープラネット」が、「世界で最も美しい船旅」と称した意味がわかります。そして船上ディナーでは、時にタラバガニの食べ放題があることも…。

北極圏に入るとオーロラが見えてくる

ベルゲンを出発して4日目には、北極圏に突入し、ロフォーテン諸島のスヴォルベアに停泊します。この辺からがいよいよオーロラ鑑賞です。真夜中にオーロラが出るカナダ・アラスカと違うのは、21:00頃から比較的早い時間帯にオーロラが出現することです。真夜中に起きている必要はなく、出れば船内放送でアナウンスしてくれます。しかも周囲は真っ暗闇、雲に隠れれば船長が方向を変えてくれます。船上からならではのオーロラ見学ですね。そしてホニングスヴォーグで一旦下船して、ヨーロッパ最北端のノールカップ(北岬)を見学します。終点はキルケネス。この町はタラバガニの本場です。片道、往復などコースは色々ありますが、最も安い部屋ならば、3食付いて1日100ユーロほどの料金です。物価高のノルウェーで、ホテル、移動、食事が付いてこの価格は、驚くべき安さです。「世界で最も美しい船旅」に、行かないわけにはいかないでしょう。