1000年以上の歴史を持つ岩塩坑

ポーランドの古都クラクフの近郊に、「ヴィエリチカ岩塩坑」があります。この一帯は2000万年前は海でしたが、その後地殻変動によって陸地となり、海水が蒸発して塩の層が残りました。10世紀頃から岩塩の採掘が始まり、13世紀に採掘が本格化してからは国家事業として約700年にわたって掘り続けられました。塩は古くから食料としてだけでなく食物保存、医薬品、そして産業革命以後は産業鉱物として非常に貴重なものだったので、ヴィエリチカから採掘される塩は「白い金」と呼ばれ、ポーランドに莫大な富をもたらしました。

「すごい、すご過ぎる…」と誰もが感嘆。地下100mにある塩で作られた礼拝堂(前編) 「すごい、すご過ぎる…」と誰もが感嘆。地下100mにある塩で作られた礼拝堂(前編)

世界遺産の第一期12件のひとつ

ヴィエリチカ岩塩坑は、ヨーロッパ最古の塩の採掘場の一つであり、世界最古の製塩企業でもあります。そして、世界で初めて世界遺産に登録された12件の中のひとつでもあるのです。ちなみに1978年に登録された世界遺産の一期生には、エクアドルのガラパゴス諸島やアメリカのイエローストーン、ドイツのアーヘン大聖堂などがあります。クラクフ歴史地区も第一期のメンバーのひとつ。12件のうち2つがポーランドにあったなんて知りませんでした。ポーランド、実はすごい歴史遺産を持った国なのですね。

現在はガイド付きツアーで見学が可能

ヴィエリチカ岩塩坑の坑道は深さ325メートル、総延長300キロに及び、迷路のように複雑に入り組んでいます。坑内で洪水が起きる危険性があることから1996年に商業採掘は中止されましたが、現在はその一部が博物館として一般に公開されています。深さ64〜130メートル、長さ約2.5キロの区間をガイド付きツアーで見学することができます。所要約2時間、けっこうな距離を歩くので、歩きやすい靴で行きましょう。また、坑内は夏でも気温が低く肌寒く感じるほどなので、羽織るものを一枚持っていくといいですよ。

言語別のツアーはポーランド語がお得

ツアーは言語別になっており、窓口でチケットを購入するときにツアーのスタート時間が指定されます。ツアーの本数が多いのはやはりポーランド語で、料金もポーランド語が他の言語より安くなっています。ですから、言語にこだわらない人はポーランド語のツアーに参加してもいいかもしれません。ツアー開始時にイヤホンガイドが渡されるので、自分のガイドが指定するチャンネルに合わせて、説明を聞きながら進みます。たくさんのツアーが時間差でどんどん出発し、中で他のツアーとすれ違うこともあるので、自分のグループからはぐれないようにしましょう。さあ、では中に入りましょうか。(後編に続く)