戦争は嫌、でも「砦」はカッコいい……

ヨーロッパの城砦には、日本の城砦とはまたちがった魅力がありますね。外敵との戦いのために造られた建造物ですが、どことなくロマンを感じてしまいます。理屈抜きで「カッコいい」と感じさせる、美しい建造物です。城砦がお好きなあなたに、とっておきのレアものをご紹介しましょう。それは「バルバカン(barbakan)」です。バルバカンが見たければ、迷わずポーランドへ! ヨーロッパに現存するバルバカンはたったの3箇所。なんとそのうちの2箇所はポーランドにあるからなのです(あとの1箇所は、フランスのカルカッソンヌにあります)。

ワルシャワのバルバカンは、観光客でいっぱい ワルシャワのバルバカンは、観光客でいっぱい

バルバカンは強大な要塞でした

さて、バルバカンとはなんでしょう? ポーランドのバルバカンは、ワルシャワとクラクフの旧市街にあります。旧市街は、中世には外的の侵入を防ぐため、周囲を城壁に囲まれていました。その城壁の一部分として、馬てい形の砦が建造されたのです。これが「バルバカン」です。クラクフのバルバカンは15世紀に、ワルシャワのバルバカンは16世紀に造られました。

戦後に復元された、ワルシャワのバルバカン

ワルシャワのバルバカンは、第二次世界大戦中にナチス・ドイツにより破壊され、大戦後に国民の手で復元されたものです。ワルシャワ歴史地区は、すべてが破壊されたあとに忠実に復元されたものですから、どの建物も本当は戦後の建築です。それでも、このバルバカンは旧市街と新市街の境に建っているので、ここがワルシャワの「旧」と「新」を隔てる「時間の扉」のような気がしてなりません。それほど復元が忠実だということでもありますね。見る方向によって、円形に見えたり、とんがり屋根の家のように見えたりする、ユニークな形の砦です。

バルバカンはワルシャワ歴史地区の端にあります バルバカンはワルシャワ歴史地区の端にあります

重厚さが特徴の、クラクフのバルバカン

クラクフのバルバカンは、ワルシャワのものよりもっと大きく、堅牢な印象を受けます。砦というより、窓の少ないお城のように見えます。ここは現存するバルバカンのうち、最大規模だそうです(3箇所しか残っていませんが)。11月から3月をのぞく期間には、有料で中に入ることができます。大人8ズオティ(約240円)です。

クラクフのバルバカンは、お城のようです クラクフのバルバカンは、お城のようです

平和に旅行ができることを喜びつつ、砦を見上げてみましょう

バルバカンの特徴は、馬蹄形であることです。これにより、砦の小窓から弓や射撃で全方向を狙えます。また、城壁の外から来た人間は、バルバカンを通らねばなりません。ここでも、通行人が敵であれば、壁の内側につけられた小窓から狙い撃ちすることができます。バルバカンの麓に立ってぐるりと開けられた小窓を見ていると、ちょっとゾクッとしますよ。今は、恐ろしい戦いの場であったことがウソのように、土産物売りやストリートミュージシャン、そして多くの観光客が笑顔で行き交います。バルバカンとは、中世とのタイムスリップ気分を味わえる、不思議な建造物なのです。

ずらりと並んだ円い小窓から敵を狙えます ずらりと並んだ円い小窓から敵を狙えます