見どころいっぱいのクラクフ。少し時間をとって、この街もぜひ!

「クラクフに行くなら、ユダヤ人街の散策をしよう!」ポーランド旅行が決まったときから、そう決めていました。古都クラクフのユダヤ人街である「カジミエシュ地区」は、近年おしゃれなスポットとして有名なのです。ポーランドは昔からユダヤ人が多く暮らしており、第二次世界大戦でナチスのホロコーストが起こるまでは、ポーランドにはヨーロッパで最も多くのユダヤ人が住んでいました。博物館やアウシュヴィッツ収容所とはちがう、“今を生きる”ユダヤ人街を、歩いてみたいと思いませんか?

カジミエシュ地区に関わりの深い人物の顔を描く壁画プロジェクト。皇帝ジョゼフ2世、ヘレナ・ルビンスタインなど新旧さまざま カジミエシュ地区に関わりの深い人物の顔を描く壁画プロジェクト。皇帝ジョゼフ2世、ヘレナ・ルビンスタインなど新旧さまざま

50ズオティ紙幣にも印刷されている偉大な王「カジミエシュ大王」

そもそも「カジミエシュ地区」の「カジミエシュ」とはなんでしょう? これは1333年からポーランドを治めたカジミエシュ三世の名前にちなんでいます。カジミエシュ三世は、内政・外交にすぐれた手腕を発揮し、「カジミエシュ大王」とも呼ばれました。彼は、当時ヨーロッパで差別され迫害を受けていたユダヤ人を保護しました。ユダヤ人の商才を高く買ってのことでしょう。カジミエシュ三世の時代、首都クラクフのこの地区にユダヤ人が移り住み、その後も商業の発展に大きく貢献したのです。

『雨に唄えば』? 地面からずいぶん浮いていると思ったら、これも壁画でした 『雨に唄えば』? 地面からずいぶん浮いていると思ったら、これも壁画でした

過酷な運命に翻弄され、よみがえった素敵な街です

第二次世界大戦でナチスの大迫害に遭い、この地区のユダヤ人も激減しました。戦後しばらくは荒れたままとなっていたそうです。しかし、近年では再開発によって活気を取り戻しました。アートギャラリーや伝統的ユダヤ料理を出すレストラン、ブックカフェやバー、手頃な値段の美しいプチホテルなど、国内外の高感度な人々を惹きつける街に生まれ変わりました。

スタラ・シナゴーグ内博物館にあった、銀製スパイス入れ。繊細でユニークなデザインです スタラ・シナゴーグ内博物館にあった、銀製スパイス入れ。繊細でユニークなデザインです

世界的にもユニークな存在であるユダヤ人を、もっと知りましょう

私はかねてから世界のユダヤ人に興味があり、海外へ行くとユダヤ人関連のスポットを歩いています。紀元前から差別に苦しみ、民族離散の憂き目に遭いながらも、各地で富を築いてきたのがユダヤ人です。政治、経済、軍事関係において、現代の世界では確実に彼らが鍵を握っています。その一方、食やアートなどのカルチャーに関しては、豊かな資金力と高い教育、そして世界とのコミットの深さゆえに、信頼できるセンスを持っているのです。

カフェでは柑橘類がたっぷりのお茶やアラビア式コーヒーをどうぞ カフェでは柑橘類がたっぷりのお茶やアラビア式コーヒーをどうぞ

どこを向いても絵になる街並みにうきうきしてきます!

カジミエシュ地区に入ると、それまでのクラクフの街並みとは雰囲気が変わります。クラクフ最大の観光地ヴァヴェル城のすぐ南東にありながら、昔懐かしいような、自分が一昔前のどこかの街角に迷い込んだような感覚になります。間口がとても小さくて、外から店内がよく見えないユダヤ人街らしい商店がずらりと並んでいます。しかしそれらは、よく覗き込んでみるとかつての商店ではなくて、実は新しいカフェやショップだったりするのです。レトロだけれどあかぬけたバランス感覚のよさは、やっぱりユダヤ人らしいセンスのよさ! 「その2」では、「シナゴーグ」についてご紹介しますよ。(その2に続く)

スタラ・シナゴーグ前の広場でくつろぐ人々 スタラ・シナゴーグ前の広場でくつろぐ人々