ここは風景そのものが歴史を物語っています

「クラクフの『カジミエシュ地区』はシナゴーグもいっぱい、おしゃれスポットもいっぱいなんです」その2からの続きです。シナゴーグを見学してユダヤ教に触れたら、街角を散策しましょう。クラクフは落ち着いた美しい街並みが魅力ですが、カジミエシュ地区はその中でも他とはちょっとちがった雰囲気があります。それは、第二次世界大戦で荒れ果てた地域の建物を、昔の面影を残しながら再建し、戦前とは別の活用をしているという、二重のおもしろさによります。

ノビ広場にあるレンガ造りの建物は、本当は多角形ですが円形のように感じられます ノビ広場にあるレンガ造りの建物は、本当は多角形ですが円形のように感じられます

そぞろ歩くだけで楽しい! ノビ広場周辺

まず、カジミエシュ地区の真ん中あたりにある「ノビ広場(ポーランド語で「新広場」の意)」へどうぞ。中央に飲食店の入った円形(実は多角形ですが)の建物と、その周りに屋台が並ぶ、楽しい場所です。ここなら、安くておいしいユダヤ料理を気軽に食べられますよ。新鮮なフルーツなどを売る露店から、「誰が買うんだろう」と理解に苦しむような謎のお土産物の屋台もあります。中央のレンガ造りの建物は、ナチス・ドイツ占領期の映像にも映っているという、時代の生き証人のような建物です。

雑多で楽しめるけれど、微妙な品揃えのお土産ショップ 雑多で楽しめるけれど、微妙な品揃えのお土産ショップ

ユダヤ・カルチャーの発信地となっているカフェ

歩き疲れたらカフェに入りましょう。ノビ広場の北にあるカフェバー「アルヘミア」や、シンガーミシンの台をテーブルにしたカフェ「シンガー」などは、日本の旅行サイトにしばしば紹介されている有名店ですね。私は、名前に惹かれて「CHEDER」というカフェに入ってみました。CHEDER(アルファベット表記は諸説あり)とは「ヘデル」と読み、「教室」を意味します。ユダヤ教の初等教育施設、日本でいうなら「寺子屋」のようなもののことです。このカフェは、ユダヤ式の軽食とドリンクを楽しみながら、ユダヤの文化に触れることができる場所です。

静かで落ち着けるカフェ「ヘデル」 静かで落ち着けるカフェ「ヘデル」

サッと見るだけではもったいなくなる、魅力にあふれた地区です

店内にはカーペット敷きのコーナーがあり、豊富な書物を自由に読めます。思い思いにくつろいで、中東スタイルのコーヒーや柑橘類のお茶をたっぷりといただけますよ。時間の都合で、カジミエシュ地区ではここだけしか入れませんでしたが、他のカフェもどこも素敵な雰囲気。次回またクラクフを訪れることがあったら、この地区に泊まってのんびり過ごしたくなってきました。プチホテルもたくさんあり、かわいらしくてムードたっぷりなのです。

サーバーもかっこいいんです! サーバーもかっこいいんです!

世界をより深く知るためのきっかけともなる散策タイムに?

ユダヤというと、今の日本にいる私たちは、どうしてもイスラエルでの紛争ばかりに注目しがちです。けれども、ここカジミエシュ地区に生きるユダヤ人は、こんなふうにハイセンスで落ち着いた街並みで、生活を楽しんでいます。もっともっと、ユダヤの文化に触れ、身近に感じることが、やがては世界を深く考えることに通じていくのではないでしょうか? ポーランドのユダヤ人街は、ナチスの悲劇だけでもイスラエルの紛争だけでも語れません。ぜひ、ご自分で歩いて、素敵な時間を過ごしてきてください!

博物館にあった銀細工の宗教儀礼道具。興味が尽きません 博物館にあった銀細工の宗教儀礼道具。興味が尽きません