ポーランドはポーランド語で「ポルスカ」

ポーランドの旅行中、首都ワルシャワからバスで南部の都市チェンストホーヴァへ向かっていたときのことです。ひたすら平らな風景を、窓からぼんやりと眺めていました。ポーランド語ではポーランドのことを「ポルスカ」といいます。これは「原野、平原」といった意味です。国の名前からして、その平坦な国土を表しているんですね。実際、国土の80パーセントが平地だそうです。そんな予備知識を思い出していると、ふと思いがけないものが目に入ってきました。風車です。

朝日を浴びるワルシャワのトラム 朝日を浴びるワルシャワのトラム

突如現れたプロペラ風車群に目を奪われる!

風車といっても、オランダの観光写真で見るようなクラシカルな形ではなく、真っ白で細身なボディのプロペラ風車です。「ポーランドは風力発電を使っていたのか」。ひとたび都会を抜けると、延々と原野と畑しかない国のように見えていた風景が、一変した思いでした。何十基と立ち並ぶ風力発電用風車群はなかなか壮観です。ワルシャワからさらに南部へと下る内陸部でも風車が稼働できるなんて、さすが平らな土地ならではです。

のどかな風景の中、いきなり風車が のどかな風景の中、いきなり風車が

EU加盟国に課せられた目標

帰国してからも、あのちょっと不思議な風景が忘れられず、ポーランドの電力事情を調べてみました。すると、ポーランドは2020年までに再生可能エネルギーの比率を15パーセントまで上げるという目標のもと、風力発電の建設が進んでいるということでした。ポーランドはEU最大の石炭産出国で、国内の電力もほとんどが石炭火力発電が占めています。しかしEUの再生可能エネルギー促進の方針を受け、2008年から風力発電に本格的に乗り出しました。そして、その風力発電の開発には、日本企業が協力していたのです。意外なところで、日本とポーランドの結びつきを知りました。

幹線道路沿い、すぐ近くにも風車が並びます 幹線道路沿い、すぐ近くにも風車が並びます

風力発電にも弱点があります……

しかし、風力発電はCO2の排出こそ減りますが、住民の騒音被害という問題が出てきます。2008年以降、順調に風車の設置数を増やしてきたポーランドですが、2016年の国会では、これ以上の建設を規制するという法案が審議されました。事実上、風車の設置数は頭打ちになるのかもしれません。この背景には、一大伝統産業である石炭産業の保護という面もありそうです。

原野の向こう、緑の低い丘の上に並ぶ風車が見えますか? 原野の向こう、緑の低い丘の上に並ぶ風車が見えますか?

目にした風景が意味するものを考える旅へ

この先、EUの方針、住民保護、石炭産業保護など、ポーランドはさまざまな問題との折り合いをつけていかなければなりません。一介の旅行者としては、旅先の国の明るい未来を願うことしかできませんが、ふと目にした風景からその国のことを深く知りたくなったり、日本との関係を知ったりするのは、やっぱり旅の醍醐味だと思いました。ポーランドはまだまだ知られざる魅力にあふれた国ですよ!