その名も壮大、「文化科学宮殿」

ワルシャワ中央駅の東に、他の建物とは雰囲気がまるでちがう、巨大な建物がそびえています。遠目からでも、その異様な大きさは目を引きます。新市街には、高層建築は他にもたくさんあります。しかし、それらの現代的な建物が機能性やデザイン性に妥当な理由がありそうに見えるのとはちがい、ただただとにかく大きいのです。“大きいこと”そのものが、存在の理由であるかのように。それが、社会主義の遺物「文化科学宮殿(パーワク・クルトゥールィ・イ・ナウーキ、略称プキン PKiN)」です。

ライトアップされると、ますます存在感を増します ライトアップされると、ますます存在感を増します

ローリング・ストーンズもここでコンサートをしたそうです

文化科学宮殿は、高さ237メートル(234メートルという説もあり)、42階建て(一説には37階建てとも)の超高層建築物です。高さや階数の数字の誤差は、どこから数え始めるかでちがってくるようです。建設は1952年に開始され、1955年に完成しました。各種の研究所、コンサート会場、コンベンションホール、博物館や映画館など、多目的施設としての役目を果たしています。展望台には専用エレベーターで上がれます。展望台はオープンエアで、風が強く、夏でもかなり寒いそうですよ。けれども、晴れた日なら最高の眺望を見られるでしょうね。

スターリンがポーランドに贈与した建物です

さて、この建物に歴史的な価値を見出だすとすれば、それは「スターリンの置き土産」としての意味合いでしょう。スターリンは、ソビエト連邦の衛星国だったポーランドに、社会主義達成の象徴として、このような大規模建築を建てたのです。建築物を異常なまでに高く大きく建設するこの様式は「スターリン様式」と呼ばれており、その代表的な建築家は、ロシアのレフ・ルドネフでした。彼が文化科学宮殿の設計をしているのです。文化科学宮殿も、完成当初は「ヨシフ・スターリン記念文化科学宮殿」という名前だったそうですよ。

ワルシャワ新市街の、独特な風景を楽しんで!

ポーランド国民の間では、この文化科学宮殿は、スターリン時代を思い起こさせるため嫌われているといいます。しかし、そんな過去とは無関係な外国人観光客は、大時代的な意匠の建物に、素直な感嘆の目を向けているように見えます。民主化運動を経て市場経済化が進み、ワルシャワにもスマートな高層ビル群が出現しています。それらのビルと文化科学宮殿の取り合わせは、旧ソ連時代からの変遷をそのまま目にするようで、興味深い風景だと思います。