心のふるさと、生活の糧、想像力の源のヴィスワ川

ワルシャワを地図で見てみましょう。海からはだいぶ離れていますよね。この内陸の都市のシンボルは、「人魚」なのです。なんだか不思議な感じがしますが、ポーランド人の心のふるさと・ヴィスワ川に人魚が出るという伝説から、ワルシャワの守り神としてシンボル化されたんですよ。ヴィスワ川はポーランド最長の川で、全長1000キロを超える大河です。私たちの感覚では、「人魚」というと海にいるもの(?)と想像しがちですが、ポーランド人にとっては、人魚伝説を生む水はヴィスワ川だったのですね。

ワルシャワの街角には人魚がいっぱい ワルシャワの街角には人魚がいっぱい

人魚伝説が「ワルシャワ」の語源だった?

人魚伝説には2パターンがあります。ひとつはこんなお話。昔、ワルスとサワという名前の漁師夫婦がヴィスワ川で漁をしていると、人魚が網にかかりました。珍しい獲物に喜んで、夫婦は家に連れ帰りましたが、人魚は川に帰してほしいと頼みました。気の毒になった夫婦がヴィスワ川に帰してやると、恩を感じた人魚が魚をたくさん獲れるようにしてくれました。そのためにワルシャワが大いに栄えることになりました……というものです。この夫婦の名前、「ワルス」と「サワ」がくっついて、「ワルシャワ」になったとも言われているんですよ。

ごみ箱のマークにもなっています ごみ箱のマークにもなっています

鶴ならぬ、「人魚の恩返し」

もうひとつの伝説はこうです。昔、人魚がワルシャワの漁師たちの網から魚を逃してしまういたずらをしていました。怒った漁師たちは人魚を捕まえますが、人魚の美しい歌声に魅了され、いたずらを許してやります。その様子を見ていた欲張りな男が、人魚の歌声で一儲けしようと企みました。人魚は、その男にだまされて捕らえられてしまいます。村の若い漁師が、仲間とともに人魚を救い出し、川へ帰してやりました。人魚は人間たちに恩返しをするべく、ワルシャワを見守り続けることを約束しました……というお話です。

街角で。「GAZ」と書かれています。こんなところにも。 街角で。「GAZ」と書かれています。こんなところにも。

人魚探しをしながらワルシャワを歩いてみませんか

ワルシャワを歩いていると、大きな人魚の像に出くわすことがあります。ワルシャワの人魚は必ず、剣と盾を手にしています。その勇ましい姿は、か弱いだけの女性ではなく、ワルシャワの町を守るという約束を果たしている姿なのです。大きな像ばかりでなく、町歩きをしながら小さなものにも目を向けてみてください。ごみ箱、看板、ガスボンベの栓の蓋など、いろいろなところで、人魚のマークが見つかりますよ。簡略化されたマークでも、しっかり剣と盾を持っている人魚です。そのシンボルを見ていると、古来からワルシャワ市民にとって、ヴィスワ川がいかに大切な存在だったのかが実感できますよ。