ポーランドの山岳リゾート「タトラ山地」

ポーランドの南、スロバキアとの国境一帯は、2000メートル級の山々が連なる山岳地帯で“タトラ山地”と呼ばれ、国立公園に指定されています。タトラ山地は冬はスキー、夏は登山やトレッキング、乗馬などが楽しめる山岳リゾートで、ポーランド側の拠点の町はザコパネ。私もクロッカスの花の谷を目指すのに、まずザコパネに向かいました。ザコパネに着いたときは雨でしたが、夕方、雨が上がったので散歩に出てみると、雨雲が切れて町の背後に雪山が迫っています。晴れていたらどれだけ素晴らしい眺めでしょう。翌日、山に向かうのが俄然楽しみになってきました。

野生のクロッカスの花で紫に染まるという、ポーランドの谷を目指した早春の旅(その2) 野生のクロッカスの花で紫に染まるという、ポーランドの谷を目指した早春の旅(その2)

いよいよ谷を目指して出発

ザコパネの安宿のベッドで久しぶりに南京虫の歓迎を受け(笑)、少々寝不足ながらも、いよいよクロッカスの谷を目指します。登山口までミニバスで向かい、入山料を払って歩き始めました。目指す谷「ポラナ・ホホウォフスカ」までは比較的平易な上り道を2時間ほど歩きます。手軽なハイキングコースといった道で、地元の子供たちも家族と一緒に歩いていました。谷までの道は、環境保全のためエンジンのついた車両の乗り入れはできず、徒歩の他に、レンタサイクルや観光馬車を利用することもできます。

ふきのとうだらけの道を行く

谷までの道中、川岸にたくさんふきのとうが生えているのに驚きました。もう花が咲ききっているところを見ると、ポーランドでは食べないのでしょうか。それとも国立公園の中なのでみんな摘まないのかもしれません。4分の3ほど歩いた辺りから道が狭く急になり、残雪が深くなりました。時々小雨が降っていたのが、ちらちらと雪が舞いだしました。雪の装備を何もしていないので、転ばないように気をつけながら歩きます。そして狭い道から急に視界が開け、 ポラナ・ホホウォフスカの谷に到着しました。

歴史の一場面の舞台となった山小屋

この谷は、いまだにポーランドでは非常に人気の高い、第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の縁の地です。ヨハネ・パウロ2世は若かりし頃、タトラ山地の、中でもこの辺りの山歩きを楽しんでいたのだそうです。また、1982年にポーランドの自主管理労働組合「連帯」の支持を表明したヨハネ・パウロ2世が、翌1983年にこの谷の山小屋で、「連帯」のワレサ議長(後のポーランド大統領)と会ったことで知られています。山小屋の入り口には記念のプレートが埋め込まれていました。ヨハネ・パウロ2世と東欧の民主化改革の英雄だったワレサ議長。自分としてはまだ記憶にしっかり残っている二人ですが、もう30年も前のことなのかと感慨にふけりました。(その3に続く)