様々な建築様式が融合したテンプル騎士団の要塞修道院

ポトルガルのコインブラから南へ約20kmのところに、世界遺産に登録されたトマールのキリスト教修道院があります。ロマネスク、ゴシック、ルネサンスといった様々な建築様式が融合した修道院で、外観はまるで要塞のようです。それはこの修道院を築いたのがテンプル騎士団だったからです。テンプル騎士団は中世ヨーロッパで活躍した騎士の修道会で、もともとはエルサレムへ巡礼へ向かうキリスト教徒を保護するための組織でした。そのテンプル騎士団が12世紀にこの修道院を造り、イスラム教徒で、北アフリカからやってくるムーア人に対する防波堤の役目を果たしていました。

キリスト教徒の村人を守った、ポルトガルのトマールのキリスト教修道院 キリスト教徒の村人を守った、ポルトガルのトマールのキリスト教修道院

広大な修道院の最大の見どころは?

この修道院は広大です。案内図を見ながら歩かないと迷って出られなくなるほどの広さですが、単なる修道院というよりも大きな博物館といえるほど見どころも満載です。この修道院で最も美しいのは、テンプル騎士団の時代に造られた円堂です。テンプル騎士団は常に臨戦態勢にあるとして、武装を解かずに騎乗したままミサができるように円堂として設計されたといわれています。のちに円堂の内部はゴシック、マヌエル様式の彫刻と絵画で埋め尽くさ、回廊の壁と天井は、キリストの生涯を描いた絵画で覆われました。この前に立つとその豪華な装飾と聖画に圧倒されそうになります。

有名なマヌエル様式の窓のデザイン

もうひとつ見落としてはならないものが、修道院の中庭をのぞむ壁にあります。マヌエル様式の窓です。高さ2m以上ある巨大な窓に、装飾がびっしりと、こびりつくように施されています。マヌエル様式はあくが強く、しつこいほど込み入ったデザインですが、この石造りの窓もまた植物や動物、そしてロープや鎖、マストなどが彫り込まれています。大航海時代の象徴です。16世紀に造られました。窓のいちばん下には、なぜか太いロープに巻き付かれた男の顔があります。この要塞のように頑丈で巨大な修道院は、ポルトガルでも古いもののひとつですが、トマールの町が建設されたとき、住民のほとんどはこの中に住んでいたといわれています。本当に要塞の役目を果たしていたのですね。