生活感が漂う白い壁の町カステロ・デ・ヴィデ

リスボンから北東へ約160km、ポルトガル中部にある小さな町カステロ・デ・ヴィデは中世の街並みを残す美しいところです。白い壁の建物が狭い路地を造っている「白い町」は、ポルトガルではそれほど珍しい風景ではありませんが、ここには他の「白い町」にはない生活感が漂っています。路地にみやげ物屋があるような観光用の町ではありません。路地裏には「フォンテ・ダ・ヴィラ(村の泉)」と呼ばれる小さな泉があり、住民は16世紀からその水を飲用に利用しているといいます。古いものが現役でそのまま残っているのです。

ポルトガルのユダヤ人の歴史が残る小さな町 ポルトガルのユダヤ人の歴史が残る小さな町

かつてのユダヤ人街を歩いてみたら

かつてこの街の人口の大半は、ユダヤ人だったそうです。そのためポルトガルでは、ほぼ完全な姿でユダヤ人街が残っていることで知られており、小振りですがユダヤ博物館もあります。小さいけれど展示内容は充実しています。とはいえ、そのユダヤ人街を歩いてみても、特にそれとわかるような何かがあるわけではなく、他の路地とまったく同じで見分けはつきません。スペインやポルトガルなどの南ヨーロッパ諸国に15世紀頃に定着したユダヤ人は、「セファルディム」と呼ばれました。ポルトガルにも多くのユダヤ人が住み、各地にシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)も存在しています。それが、なぜいなくなってしまったのでしょうか。

ユダヤ人がこの町から消えた歴史的な理由

1492年にスペインでユダヤ人追放令が出されると、少なくとも10万人のユダヤ人がポルトガルに逃れてきたといわれています。ポルトガルは比較的、宗教に寛容な国でしたが、やがてポルトガルもユダヤ人に対してキリスト教に改宗を迫るようになります。それを拒否したユダヤ人は町を出て行かなければならなくなり、そうやってユダヤ人たちはこの街から消えていったのです。500年以上も前の出来事ですが、こんなおだやかな町でも、そのような悲劇的な事件があったことを、小さな博物館は教えてくれます。