ダムの建設中に発見された古代の線刻画

古代の人々が動物などの形を岩に刻んだ遺跡が世界各地にあります。最も有名なのがアルジェリアのサハラ沙漠にあるタッシリ・ナジェールですが、ポルトガルでも1980年代後半に大規模な線刻画が発見されました。コア渓谷という場所でダムの建設中に偶然見つかったのですが、1995年にダムの建設は中止になり、1998年にコア渓谷の線刻画として世界遺産に登録されました。ここの線刻画は4万年〜1万年前のものではないかといわれていますが、描かれているのは、先史時代の牛、アンテロープ、魚といった狩猟していた動物画です。

ポルトガルのタッシリ・ナジェール、コア渓谷の線刻画を見る ポルトガルのタッシリ・ナジェール、コア渓谷の線刻画を見る

世界最大の線刻画ですとガイドはいう

コア渓谷の線刻画は世界最大のものだとガイドが誇らしげに説明してくれました。しかし、タッシリ・ナジェールと較べると明らかに小さいので、詳しく聞くと、地表に現れた線刻画の規模では世界最大なのだそうです。タッシリは塗料で描いた絵で線刻画ではありません。ガイドが案内してくれる場所は4カ所だけですが、まるでアニメーションのように動きのある牛の線刻画などもあります。コア渓谷に描かれた原初的な絵は、シンプルで美しく、無駄な線が一切ありません。単純な形そのものだけで心を動かす力が、このような絵にはあるのですね。

超モダンなミュージアムがすごい

プリミティブな古代の線刻画を見たあとで、併設されているコア博物館を訪れることにします。この建物はコンクリート打ちっ放しの超モダン建築。外観もモダンなら、内部の展示も現代的で、暗くした廊下の壁に線刻画が色とりどりに浮かび上がってきたり、渓谷から収拾された巨大な線刻画がライトアップされて展示されたりと、なかなか劇的な演出です。線刻画はこちらのほうが見やすいかもしれません。コア渓谷はポルトから東へ約130kmのところですが、最寄りの町はヴィラ・ノヴァ・デ・フォス・コアです。ここに数軒の小さなホテルがありますよ。