リスボン近郊の観光地シントラの最大の見どころは?

シントラはリスボン近郊の有名な観光地です。世界遺産にも登録されているので、多くの観光客が訪れます。見どころはシントラ中心地にある王宮、レガレイラ宮殿、ムーアの城跡、ペーナ宮殿と4箇所ありますが、最大の見どころはペーナ宮殿でしょう。1838年にドイツから建築家を呼び寄せて造った19世紀ロマン主義を代表する建築であるとガイドブックには書かれていますが、門はチュニジアやモロッコにあるようなイスラーム風デザイン、塔はゴシック様式、屋根はルネサンス様式、装飾はマヌエル様式と建築様式のサンプルのような宮殿です。

世界遺産シントラの迷宮的世界(前編) 世界遺産シントラの迷宮的世界(前編)

海洋国家ポルトガルの富の象徴マヌエル様式

マヌエル様式とは、15〜16世紀頃ポルトガル全土に広がった芸術様式です。ポルトガルがインド航路を開拓に成功し、そこから海外事業を押し進めて巨万の富を得ましたが、その財力にものをいわせて、過剰で複雑な装飾芸術を発達させました。海洋国家らしく、船のロープや鎖、海草、貝殻、天球儀など海洋を象徴するもの、新大陸やキリスト教を象徴するものなどがモチーフが取り入れられ、海外のモロッコやインドの影響も入り混じっています。同じく過剰な装飾で知られるバロック様式の前に存在したポルトガル独特の様式だったのです。

濃密な空間のペーナ宮殿

ペーナ宮殿の内部に入ると、狭い部屋が次から次へつながっており、壁や天井には絵の具でレリーフ風の模様がびっしりと描かれています。一つの部屋にはられているアズレージョ(ポルトガルの装飾タイル)も、16、17、18世紀それぞれのスタイルが混ぜて使用されています。ちょっと息が詰まるほど濃厚な空間から外へ出ると、見逃してはならないレリーフがそこにあります。マヌエル様式のレリーフです。ヒゲをたくわえた半裸の男が、貝殻に乗って恐ろしい形相で木の枝をつかんでいます。これはギリシャ神話に登場する海の神トリトン。「世界の創造」を意味しています。海洋国家ポルトガルにとっては海こそ世界の創造だったのかもしれませんね。(後編へ続く)