上品な美しさのレガレイラ宮殿

シントラ中心部から歩いて15分ほど行くと、レガレイラ宮殿が見えてきます。これも装飾豊かな塔の立つ宮殿ですが、それほど大きなものではありません。12世紀に王族の別邸として建設されたもので、20世紀になってからイタリア人建築家ルイジ・マニーニがゴシック建築に改築しました。それをベースに随所にマヌエル様式の装飾が施されています。内部の部屋は、木彫の美しい天井とシンプルな装飾が描かれた壁紙で構成されていて、ペーナ宮殿のように息が詰まる感じはありません。彫刻の装飾も精緻な造りでとても上品な仕上がりです。特に宮殿の脇につながるチャペルの塔の装飾が見事です。

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レガレイラ宮殿の秘密の庭園

しかし、ここの魅力は宮殿ではなく、それを取り囲む広大な庭園にあります。案内図を見ながら歩いてみましょう。あちこちに水が湧き出る泉があり、なかには地下へ螺旋状の階段を設けた井戸があったり、また小さな池に橋が架かり、その脇に洞窟がのぞいています。螺旋階段のある井戸は底まで下ることができます。底にはトンネルがあり、中は真っ暗ですが、勇気を出して中へ入ると、やがて先のほうに明かりが見えてきます。さらに前進すると出口に到達。そこはさきほど見た洞窟につながっていたのでした。これらはすべて人工的に造られたもので、ちょっとした自然のテーマパークといった感じです。

世界遺産レガレイラ宮殿の最大の謎

一見しただけだと美しい庭園ですが、実はこのような仕掛けが庭園のあちこちに造られています。これは案内図には特に示されていません。散歩した人が自分で発見し、自分で試して遊ぶ仕掛けになっているのです。日本だったら明かりのないトンネルに、案内図もなく勝手に入らせるということはないでしょうが、ここも世界遺産の一部です。いろいろな世界遺産があるものですね。このレガレイラ宮殿で唯一にして最大の謎は、宮殿の建物の壁が、石積みであるようにペンキで描かれているという点です。世界遺産でありながらペンキで描かれた石積み建築というのもここだけかもしれません。