ドナウデルタはどんなところか?

ドイツの南西部、黒い森地方の南に位置するドナウエッシンゲンには、ドナウ川の源流とされている美しい泉があります。ドナウ川はドイツからオーストリア、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリア、モルドバ、ウクライナと10カ国の沿岸を通って、黒海に流れ出ています。総距離は2860キロ。日本列島が約3000キロと言われていますので、それに匹敵する長さです。そしてこのドナウ川は、黒海に流れ出る前に壮大なデルタ地域を形成しています。その広さは3446平方キロメートルと、北海道の面積の4割弱もあるのです。デルタの多くは湿地帯で、沼地と森林に覆われています。ここに生息するのは、45種の淡水魚、300種の鳥類、1200種以上の植物です。人間はほとんど住んでおらず、まったく手つかずの大自然が今に残されているのです。観光の拠点となるのが、ルーマニアのトゥルチャです。首都のブカレストから列車で6時間です。

自分に合ったクルーズツアーを探してみよう

トゥルチャでは、デルタクルーズツアーが多く催行されています。スピードボートに乗るもよし、スローボートでゆっくり巡るのもよし。ボートで宿泊できるものもありますので、ホテルに泊まらず、デルタの中のボートに泊まるのもいいですね。できたら1度してみたいです。僕が乗船したのは大型の船によるクルーズでした。ランチ付きです。デルタの中に入っていくと、東南アジアのベトナムやタイ、マレーシアなどで見られるマングローブ林のようでした。湖沼地の水の中から木々が生えているのです。船長がエンジンを止めてくれます。静寂の中で鳥の鳴き声が聞こえてきます。この静けさがいいんです。東南アジアのデルタでも感じられる豊かな静けさ。それがこのドナウデルタでも感じられました。不思議とこの静けさは、陸に上がるとなくなってしまいます。水の上だけで感じられる心の安寧のようなものがありました。

トゥルチャで珍味を堪能する!

ツアーによっては、小さな漁村でデルタで捕れた魚をランチに食べるものもあります。そしてこの黒海では、あのチョウザメも捕れるのですね。ある年のこと、漁師が小舟でチョウザメを見せながら僕の乗るボートに近づいてきました。魚を売ろうというのではありません。彼はキャビアを瓶に入れて持っていたのです。しかしルーマニアでは、養殖のキャビア以外は販売してはならないことになっています。ただし、トゥルチャ近郊では、チョウザメの養殖が行われており、街中でキャビアを購入することは可能です。そしてなんと、日本に輸入されるキャビアのうち、ルーマニア産のものが上位に食い込んでいるというのです。現地ではパンにバターをたっぷり塗って、どさりと黒い真珠キャビアをのせていただきます。もう、うまいのなんのって。もちろんスパークリングワインは欠かせません。自然の静寂を感じつつ、珍味を楽しみに、ドナウデルタに行ってみませんか?