ルーマニア最大の見どころといえば……

ルーマニアで最も有名な見どころといえば、北モルドヴァ地方にある「五つの修道院」でしょう。スチャバから約50km圏内に点在するこれら5つの修道院は、1993年に世界遺産に登録され、多くの観光客を集めています。この修道院が有名なのは、なんといってもその壁画の美しさです。内部に描かれることが多い壁画が、ここでは外壁に描かれており、長い年月風雨にさらされながら、その美しさが損なわれていない「奇跡の壁画」とも呼ばれています。これらの修道院の壁画のうち、今でも美しさを保っているものをご紹介しましょう。

ルーマニアの至宝「五つの修道院」の壁画を味わう(その1) ルーマニアの至宝「五つの修道院」の壁画を味わう(その1)

「東のシスティーナ礼拝堂」と呼ばれるヴォロネツ修道院

北モルドヴァの修道院でもひときわ評価が高く、「東のシスティーナ礼拝堂」と呼ばれているのがヴォロネツ修道院です。壁画には青が多用されていますが、この青色が北モルドヴァならではの色で「ヴォロネツ・ブルー」と呼ばれ、現在でも再現が不可能だといわれています。壁画には「最後の審判」という大作が描かれています。このテーマはどこの修道院でも描かれていますが、ヴォロネツ修道院のものが特に高い評価を受けています。「最後の審判」とは、善人は天国に、悪人は地獄に行くというわかりやすい教えを絵にしたもので、イエスの足下から赤い炎の川が流れ、その中で多くの人が逃げ道を探してもがき苦しんでいます。

「コンスタンティノープルの包囲」で有名なモルドヴィツァ修道院

モルドヴィツァ修道院は、16世紀初めに建立された修道院です。壁には1537年に描かれた「コンスタンティノープルの包囲」が残り、今でも美しい保存状態です。コンスタンティノープルの陥落とは、1453年、オスマン帝国によって東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルが陥落し、東ローマ帝国が滅亡した事件です。この事件から84年後に描かれたわけですが、この絵に描かれているのは、それよりずっと前の626年、コンスタンティノープルがペルシャ人によって包囲され、それを見事に守り抜いた場面だそうです。それなのに、ここに描かれているのはペルシャ人ではなくトルコ人。微妙な民族感情が反映されているようです。