ロシア名物「キャビア」の現在

ロシア料理といえば、何を思い浮かべるでしょうか? 何と言っても世界三大珍味の「キャビア」でしょう。ロシア語では「チョールナヤ・イクラ(黒いイクラ)」と呼ばれています。実は「イクラ」はロシア語で、「魚の卵」の意味だったのですね。粒の大きなものほど珍重され、最高級の「ベルーガ」は日本のネット通販では、10グラムで1万円ほどもします。キャビアを生むチョウザメが絶滅危惧種に認定されて、カスピ海沿岸国での捕獲が現在でも禁止されたままとなっているからです。研究用のものだけが流通している状況のようです。ですから、ロシアに行ったからといっても、さして安く手に入るわけではなく、騙されることもあり、購入する場合は、よく確かめてからにしましょう。またキャビアは持ち出しが1人250グラムまでと制限されており、それ以上持っていると、没収されますので、注意してください。

ロシア人は野菜が大好き? ダーチャとうまいピクルスが、厳しい暮らしを支えた ロシア人は野菜が大好き? ダーチャとうまいピクルスが、厳しい暮らしを支えた

ロシア料理のサービスが、フランス料理に及ぼした意外な影響

キャビアはもちろん、赤いイクラでも、ロシア庶民には無縁の食品だと言われています。庶民の食事と言えば、赤カブのシチュー「ボルシチ」や、カレーパンに似た「ピロシキ」、小さなパンケーキ「ブリヌイ」、餃子とそっくりな「ペリメニ」と、酸っぱい黒パンでしょう。ロシア革命以前には、食うことだけでも大変で、「パンと水が農民の食べ物」と言われ、しかも人口の9割が農民だったお国柄です。どうしても料理文化が注目されることが少ないのです。ただ帝政ロシア時代には、フランス人の料理人を招聘し、夜毎贅を尽くした宴会を催していました。この時に、オードブル、スープ、魚料理、肉料理…と出され、そのサービスがフランスに逆輸入され、現在のフランス式サービスになったというのですから意外な展開ですね。

ロシア人の胃袋を支える最強のロシア料理は?

そんな料理文化の中で、ロシア人の胃袋をしっかりと支えているのが野菜です。郊外に行くと菜園付きのセカンドハウス、ダーチャを見かけます。都会の人でも、こうして自家菜園を持ち、自給自足に励むのでした。かつて9割の人が農民とされたお国柄ですね。こうした菜園で春から夏にかけて野菜を作り、作っては次々に、冬用の保存食としてピクルス(ロシア語ではサリューヌイ)にしていくのです。野菜を可愛く切って、瓶詰し、アートのようにキッチンに飾っている家庭も少なくありません。ドイツのザワークラフトに似たキャベツの塩漬けは定番ですし、キュウリやトマト、各種キノコにニンニク、スイカと何でも漬けてしまいます。しかもこれがまた、ウオッカのつまみに最高にうまいんですね。個人的にはピクルスこそがロシア料理の代表格だと思っています。レストランでもぜひ、注文してみてください。